2004年(平成16年)12月20日号

No.273

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お耳を拝借(117)

「日めくり」

芹澤 かずこ

 今年もとうとう残り少なくなってきた。この一年を振り返ってみて、まあつつが無く過ごせた方だと思うので、それで良しとすべきではあるが、ただ一つ反省というか肝に銘じて改めたいことは、毎日余りにも慌ただしく職場と家との往復に費やして、気持ちの上でゆとりを失っていたこと。
 その悪しき例が、日々の生活の中に顕著に表れる。月々のカレンダーは月に一回めくればいいので、忘れるということは殆んどないが、日めくりは気がつかないと何日もそのままになっていることがある。家にあるのは、あいだみつおさんのもので「アレもコレもほしがるなよ」とか「できない約束はしないこと」とか「あんなにしてやったのに『のに』がつくとぐちが出る」とか、ごく当たり前のことなのに普段すっかり忘れていることがたくさん書かれていて、そうだそうだと頷くことしばしば。
 それなのに、せかせかして気持ちのゆとりがないと、それさえも見過ごして一度に何枚もめくることになる。この話をたびたび訪れる近しい友人にすると「そう、この前に来た時と同じだった、気がついたけれどどうしようかと思って・・・」と言われて赤面しつつ、これで一本、今年最後の原稿が書けると思ってしまう反省なき私。「けれどけれどでなんにもしない」というあいださんの言葉が身にしみた。



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