2004年(平成16年)10月10日号

No.266

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(29)

―札と馬券の話― 

  偽札が急増しているようだ。5年前には3422枚だ
ったが、今年は7月までに1万5000枚近いという。このままのペースでいけば、年間で3万枚近くになるのではないかと見られる。偽札は1万円札に多いが、だからといって、受け取るときにいちいち確かめるわけにもいかない。仮に確かめようとしたところで、素人には見分けも付き難い。もっとも、精密な判別機にかけると、即座に判別するそうだ。
 ところで、駅で切符を買うときのことだ。券売機に古い千円札を入れたところ、そのまま戻ってきた。機械が受け付けないのは、ホンモノかニセ札かの判別が出来ないのだろう。これは、その券売機の精度の低さを示している。駅などでは、高度に精密な券売機を導入するわけにもいかないのだろう。
 駅が受け付けなかったその古い紙幣を、競馬場へ持って行った。券売機は受け付けるだろうか。試してみた。古いヨレヨレの千円札。馬券を800円分買う。千円札は何事もなく、券売機からは馬券とともに、釣銭もスムーズに出てきた。当たり前のような話だが、競馬場の券売機のほうが遥かに精密度が高いと、改めて知った思いがしたものだ。
 ついでにいえば、その日は幸運の女神にも恵まれ、穴馬券も的中させた。その高額配当金が、また新札だった。そこで改めて思ったのは、銀行の両替機との比較だ。銀行の両替機を利用したとき、新札が欲しいと思っていたのに、ヨレヨレの札が出てきてガッカリしたものだ。それに比べると、競馬場の支払機のほうが、遥かにいい。新札が通し番号で出てきたのには、大いに驚いた。
 こう書いたところで、決して競馬場通いや馬券買いを勧めているわけではない。ただ機械の比較をして見ただけのことである。ついでにいえば、最近の競馬場の印象はよくなった感がある。晴れた日の日曜日など、子供連れの家族が楽しむ姿も見られる。冒頭のような悪をしでかす不届き者もいそうににない。平穏なひとときを愉しみたいものだと思う。    

( 新倉 弘人)

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