競馬徒然草(7)
―ハルウララのグッズ―
高知競馬の人気者ハルウララ(牝8、宗石)が、2月2日、高知市観光協会から「県外からの観光客誘致に貢献し、高知市を全国にアピールした」との理由で、市の観光功労者として表彰された。高知市内のホテルで行われた表彰式では、宗石調教師の代理で出席した高橋孝保高知県馬主協会会長に、同観光協会から表彰状と記念品のニンジン200キロの目録が贈られた。
馬がこのような表彰を受けた例は、日本はおろか世界にも皆無だろう。しかも、デビュー以来5年間、連戦連敗(103連敗)を続けている馬である。これはギネスブックものだ。
このハルウララ。3月22日のレースに、武豊騎手が騎乗することで話題になっている。中央との交流重賞「黒船賞」(GV、ダート1400メートル)に、武豊騎手は中央のウインクリューガー(牡4、栗東・松元茂)に騎乗する。この機会に、別のレースに出走するハルウララへの騎乗が実現するというのだ。騎手が乗り替わっても勝てないだろうが、人気の武豊が乗るとあって、話題が話題を呼んでいる。ハルウララの馬券も、南関東4場と付属の場外施設で発売するというのだ。他地区での場外発売も、今後広がりそうな気配だ。というのも、高知競馬場まで足を運べないファンから、「地元の競馬場で馬券を発売して欲しい」という要望が各競馬場に寄せられているからだ。
単勝馬券に馬名を印字する競馬場では、「ハルウララ」とプリントされた馬券が人気を集めそうだ。高知競馬場では馬券に馬番しか印字されていないので、これまでも専用の記念スタンプを用意して対応しているということだ。ハルウララの名が印字、スタンプされた馬券は、記念というよりも「お守り」として人気があるのだ。馬券を買っても当たらないから、「当たらない」という交通安全のお守りとして人気があるのだそうだ。勝つ(当たる)ことを期待して馬券を買うのではなく、ハズれる(当たらない)ことを承知で買うのだというから、ハルウララも喜んでいいのか、情けないのか、複雑な心境だろう。
「お守り」のほかに各種のグッズも売れており、さらに今後の企画も多いようだ。100敗目の単勝馬券を縮小加工した携帯ストラップやキーホルダーのほか、
特製切手シートなども、3月初旬から発売される。特に切手は、マニアが多いから人気になるような気がする。特定の馬、それも地方競馬の馬が切手になるのは初めてのことだろう。競馬に関するものとしては、過去に中央競馬会(JRA)が記念切手を発行したことがあるが、あれとは少しケースが異なる。あの場合は100回目を迎えた天皇賞を記念したものだった。今から15年前の1989年(平成元年)10月に、記念切手として発行されている。競馬に関する記念切手としては、そのくらいのものだ。
記念切手に採り上げられるものは、一般に文化財が多いが、それからいえば、ハルウララも文化財並みの扱いということになる。大したものだ。ハルウララの話題は、しばらく続きそうだ。今度は、どんな話題をもたらせてくれるだろうか。折しも、その馬名を象徴するような季節である。 (
新倉 弘久) |