2004年(平成16年)3月1日号

No.244

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
お耳を拝借
山と私
GINZA点描
銀座俳句道場
告知板
バックナンバー

花ある風景(158)

並木 徹

ファッションは時代を先取りする

 人気デザイナー、マイケル・コースがこのほど、ニューヨークのファションウイークで発表した秋冬コレクションのテーマは「70年代への回帰」(ニューズウイーク日本語版2・25号)。モデルの装いは、ポンチョ、ミニスカート、つば広の帽子であった。しゃれたセクシーな明るさを感じさせる。芸術家は敏感に時代を先取りするという。閃いた。そろそろ日本もバブル前にもどるのではないかと思った。地方の景気はいまだしも経済指標は上向きである。
そこで70年代(昭和45年)の日本を思いつくままに振り返ってみる(昭和家庭史年表・河出書房新社刊より)。米の生産調整が始まったのがこの年。減産は150万トンである。電卓の生産100万台突破。大卒、短大卒の就職者数は30万人、中卒の就職者は28万人で、大卒者より少なく「金の卵」といわれた。自動販売機100万台突破。若い女性の間に「ディスカバージャパン」熱はやる。食生活を変えた「電子ジャー」が発売される。日本ダービーの売上89億900万円、史上最高を記録する。1、000人競馬時代となる(昭和46年6月13日)。カップヌードル発売(120円)。東京都内23区のゴミは1日1万3000トンで、霞ヶ関ビルが13日で一杯になる量であった。パンダのぬいぐるみが150万個売れる(一個380円〜18万円)。昭和47年は第一次ワインブームである。44年に5526キロリットルのワイン年間消費量がこの年に約3倍の1万4545キロリットルと急増した。一億總グルメの時代はここからはじまる。池田理代子の「ベルサイユのばら」300万部を越すベストセラーになる。東京の捨て子47年90人、46年77人、45年67人。年々増えている。「般若心経入門」「観音経入門」など新書版の仏教書類が売れる。大学進学率30l超える。高校進学率は90l(48年4月)。平均寿命男女とも70歳を超える。男70.49歳、女75、92歳〈同年8月)。全国でトイレットペイパーの買占め騒動起きる(48年10月下旬)。昭和34年から始まった高度成長がストップしたのは48年の石油ショクがきっかけといわれる。海外旅行ブーム。海外渡航者は228万8966人、うち女性は51万3163人。第一次絵画ブーム、輸入額689億円。自動車免許人口3000万人を突破。昭和48年度国民総生産115兆6752億円、初めて100兆円を超える(49年3月)。「セブンイレブン」第一号店東京台東区に開店。教師の聖職論争が盛んになる(49年7月)。ラグビー人気高まる。(49年11月)早明ラグビー決勝戦に新記録の4万人の観客詰め掛ける。清涼飲料水の売れ上げ高7000億円突破。インスタントラーメンの年間消費量40億食。年商7000億円、国民一人当たり年間40食を食べた勘定になる。
 古きを温ねて新たらしきを知るという。33年たったいま、国民総生産は500兆円を超える。国の経済力と庶民の暮らしとかなりの落差さがあるが、一億總グルメは変らない。テレビはどの局も料理番組に力を入れている。老齢者社会になって中高年齢の男性が熱心に見ている。日本人男性の家事労働時間は一日35分だが、やがてアメリカの男性なみに一日2時間20分に近ずくかもしれない。海外旅行ブームも世界各地でのテロの発生でややかげりを見せているもののあいかわらずである。特に若い女性の旅行熱はさかんである。縫いぐるみはおもちゃのロボットに代わるのではないか。おもちゃの超合金ロボット第一号「マジンガーZ]は49年に発売されている。今では声をかければかけるほどなついて「答える」ロボットまで登場している。
 養老孟司さんの「バカの壁」は311万部を越えた。若者を取り込んだからである。文章が若者向きなのである。第130回芥川賞の受賞したのは19歳の綿矢りさと20歳の金原ひとみであった。月刊「文芸春秋」3月特別号は50万部も刷り増しをした。ラグビーの人気も高まるかもしれない。今年から昨年の全国社会人大会にかわってトップリーグが結成された(第一回優勝・神戸製鋼)。上位8チームで行われた「マイクロソフト杯」ではNEC(トップリーグ第6位)が優勝した(2月22日)。国立競技場の観客は2万5000人。現在、大学チームも入ったラグビー日本選手権が開催中である。昔は教師は聖職であった。そんな野暮なことを言わず、ともかく先生は「子供大好き精神」(知人、河村保男さんの言葉)を持って欲しい。中高年に必要なのは「気力」と「宗教心」だそうである。また宗教書ブームが起きそうである。万事に歴史は繰り返すというではないか。信ずるか信じないか貴方次第である。

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。(そのさい発行日記述をお忘れなく)
www@hb-arts.co.jp