2004年(平成16年)1月20日号

No.240

銀座一丁目新聞

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山と私

(2)
国分 リン

−初めてのスノーシューと雪の黒斑山−

  からまつの林を過ぎて からまつをしみじみと見き
からまつはさびしかりけり たびゆくはさびしかりけり 北原白秋
 スポニチ登山学校の友5人と混んだバスの中でこの詩を聞き、碑が車坂峠に建つ高峰高原はからまつに囲まれている。2000m地点に建つ宿の赤い雪上車が出迎えている。初めてのキャタビラー車は揺れてあまり乗り心地はよくないが、30分程雪の上を歩く事を思えば幸せだ。ランプの宿へ着いた途端驚いた事に玄関前に横付けし宿の人達が皆で出迎え、荷物を運んでくれた。宿の中は綺麗に磨きこまれ塵一つ見当たらない。早い昼食を部屋で済ませ、今回の主目的のスノーシュー(宿に沢山準備して、ただで貸している。)を借りてテスト歩行する。なかなか歩きやすい。斜面を登る時はかかとのバネを上にあげれば登りやすい。皆で高峰山に登る事にする。踏み跡のない雪面にザックザクと音を立てながら歩く。午後になると雪雲が湧き時々ブルーを隠し、冷たい風が吹き抜くと急に寒くなる。小さいピークを3回越えて頂上へ。そこでお湯を沸かしラーメンをご馳走してくれる仲間がいる。最高だ。
 日本秘湯を守る会「高峰温泉」の懸け流しの温泉は素晴らしい。次の日快晴 皆で相談し宿で借りてクロスカントリーで池ノ平湿原を目指す事にした。ズックの先にスキーにはめるフックがつきエッジの無い軽い長い板とストックを持ち滑らせてスケーテイングしながら歩く。私を除く4人はクロカンを初体験でしたが、2人は直ぐに慣れて私と一緒に湯ノ丸高峰林道を2時間余スキーを滑らせ池ノ平湿原入口到着した。ここは風の通り道か冷たい風が吹きぬけとてもじっとしていられない。周囲には樹氷に輝く大きなダケカンバやからまつがありカメラの被写体にとてもよい.後からの2人が来ないので確認をしたら、慣れないスキーで転び用心の為宿へ戻ったとインストラクターが教えてくれた。温かいコーヒーで体を温めクロカンスキーで雲上の丘を目指し斜面を昇り始めた。
深雪にスキーの先がもぐりなかなか重労働で頂上は無理をしないことにした。急な斜面を降りることになったが、深雪にバランスを失い、何度も尻餅をつきながら雪だるま状態で林道に下りてきた。途中代の字に転んだ時に見た青空は限りなく群青色で吸い込まれる感覚でした。ピストンで戻る道は程よい斜度で快適にクロカンスキーで滑り降りる事が出来、行きの半分の時間で戻れた。
 夕食後「天体観測をします。」との案内で防寒具を着け屋外へ出て温度計を見たら氷点下17度とても動かないではいられない。3台の大きな望遠鏡が設置され土星・昴・シリウスにそれぞれ焦点が合わされ、宿の係りの人が説明してくれた。肉眼では点にしか見えない土星の輪やシリウスの大きな輝きに驚き、昴は100個以上の星の集まりと聞き改めて良く見ると沢山の星が澄み渡った夜空に輝いていて満天の星たちと散歩をしてる気分でした。
 最終日も快晴、宿の人の勧めで黒斑山へ登る事にした。アイゼンは宿で準備してあり、私は防寒長靴にアイゼンスタイルですがこれがなかなか歩き心地が良く何の心配も無かった。2100m地点の登山口迄車で送っていただき、9時20分出発。踏み跡を上るが時に膝までもぐったり、わざと新雪の上を歩き足跡をつけて喜んだりしましたが、全部雪で覆われていて平で一直線に歩ける為夏道よりもむしろ歩きやすい。最初のピークで八ヶ岳・富士山・御嶽山・乗鞍・北アルプスの山並みに歓声を上げしばし見とれた。1度大きく下りまた昇り返したらトーミの頭に着いた。そこからは浅間山の大展望台でした。今年は雪が少ないとの事で黒く大きく独特の白い筋が行儀良く並び噴煙が時としてなびき素晴らしい。この場所も風の道で先を急ぐとあと10分で黒斑山頂上の立札に安心し11時10分に黒斑山(2414m)到着。どっしり構える浅間山の眼前でゆっくりとおにぎりを頬張り充分満足した。帰りは走るように降りて1時間足らずで登山口に到着した。途中もう雲が上がり山にはガスがかかり、やはり写真を撮るなら午前中の早い時間で無いと駄目な事を再認識しました。好天の為と思うが雪山へ登る事が出来てとてもよかった。
 この3日間お天気に恵まれ変化に飛んだ日を充分楽しむ事が出来たのも、高峰温泉の温かいもてなしとこの企画に誘ってくれた友に深く感謝しつつ終わりました。
 

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