競馬徒然草(3)
―3歳牡馬勢の展望―
今の時期、人は春の訪れを待ち望むもののようだ。ところで、馬の場合はどうだろうか。馬の気持ちは別として、人と馬の関わりについていえば、どんな馬が活躍するだろうかという関心は大きい。春のクラシック・シーズンは、花の咲く季節でもある。季節と重ね合わせて、馬やレースのことを考えるのも、不思議ではないようだ。
春のクラシックへ向けての展望をしてみる。まず、3歳牡馬。3歳牡馬勢を展望する上で、シンザン記念(1月12日、京都、芝1600)は、1つの参考になるレースだった。結果は、2番人気のグレイトジャーニー(武豊)が勝った。勝ちタイムの1分35秒4は、予想よりも約1秒遅い。とはいえ、前半が速いペースではなかったので、やむを得ないだろう。1番人気のタマモホッットプレイ(安藤勝)は、過去2戦で見せた瞬発力が評判倒れに終わった。それどころか、ゴール前では突き放されたのだから、完敗といっていい。このレースを見る限り、今後に期待をつなぐのは、グレイトジャーニーのほうだろう。
ところで、このグレイトジャーニーは、暮れの朝日杯(中山1600)で7着(1分34秒9)に敗れた馬だった。それがシンザン記念であっさりと勝ったのを見ると、朝日杯出走組のレベルの高さが分かる。ついでに記せば、1月5日のジュニアカップ(中山1600)の1着マイネルゼスト、2着フサイチホクトセイも、朝日杯出走組だ。
こうした点から見ても、3歳牡馬勢のランクは、朝日杯の勝ち馬コスモサンビーム(1分33秒7)がトップで、同レース2着メイショウボーラー(同タイム)、3着アポインテッドデイ(0秒1差)が続く。1600メートルのレースで、1分34秒台を切ったのは、この3頭だ。もちろん他のレースには、これほどの速いタイムを出した馬はいない。少なくとも、これに近いタイムを出し得る馬でないと、「今後が楽しみ」だとはいえそうにない。シンザン記念の勝ち馬グレイトジャーニーの1分35秒4は、馬場差を見ても、朝日杯上位組との差が大き過ぎる。今後、力をつけたとして、どこまで近付けるだろうか。
それよりも、有望馬は他のレースから出てきそうな気がする。これからは特別レース、重賞レースがいくつもあるから、それらを勝ち抜いてくる馬に注目したい。西高東低といわれる中で、関東ファンとしては、関東馬に期待したいところだが、どんな馬が現れるだろうか。評判のサンデーサイレンス産駒が続々と新馬勝ちしているので、眼が離せない。サンデーサイレンス産駒ではないが、差し当たっての期待馬は、朝日杯3着のアポインテッドデイだ。詰めの鋭さが欲しいところだが、レース振りには安定感がある。次走は2月8日の共同通信杯(GV、東京1800)の予定で、これが一つの試金石。どのくらいの力をつけているか、注目したい。この馬にとって、1800メートルは初めて経験する距離。どんなレースをするかで、今後が占えるだろう。 (
新倉 弘久) |