2003年(平成15年)10月1日号

No.229

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
静かなる日々
お耳を拝借
GINZA点描
銀座俳句道場
告知板
バックナンバー

花ある風景(143)

並木 徹

阪神の優勝は10大ニュースの一つ

 阪神タイガースの優勝は18年ぶりの歴史的な快挙」である。単なるスポーツの出来事ではなく社会的経済的広がりを見せた一つの現象である。経済効果6355億円と伝えられる。道頓堀川に5300人が飛び込んだのを見ても庶民がいかに驚喜乱舞したかよくわかる。いまの日本の長く続いた閉塞感を一挙に爆発させた観がある。
 この騒ぎは10月の日本シリーズまで続くのは間違いない。セリーグでの阪神の優勝は今年の10大ニュースの一つになるであろう。毎日新聞は社説で「虎の変身に元気をもらった」と論じた。その中で「一番の収穫はけして諦めなければ、それが可能になると言う勇気と自信を与えた事だ」と指摘した。サンスポ(9月16日)に載った前監督の野村克也さんの話は説得性があった。野村さんは要因を三つあげる。
 1は「強くなるにはお金を掛けてエースと4番を取るしかない」という提案をオーナーが受け入れた。オーナーが大きく変わったのである。
 2は星野監督の存在である。ぬるま湯に慣れ、プロ意識が見られない阪神選手を引っ張っていけるの西本幸雄さんと星野しかいないと野村さんは進言した。厳しく、怖い監督の出現である。
 3はオーナーの意識が「補強」の認識を改めたこと。金本、伊良部を獲得した。昔はいなかった一億円選手が生まれた。金本、伊良部、片岡、アリアス、ムーアなど幹のしっかりしたチームができあがった。
 野村さんは月刊「文芸春秋」でチームを作るとき「中心のいない組織は機能しない」としてここでも「エースと4番」の重要性を説く。さらに連覇の第一条件は星野監督が怖い存在であり続けることだと強調している。10月18日から始まる日本シリーズでの星野監督の采配ぶりをとくと見物しよう。

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。(そのさい発行日記述をお忘れなく)
www@hb-arts.co.jp