2003年(平成15年)5月20日号

No.216

銀座一丁目新聞

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お耳を拝借(79)

転ばぬ先の杖

芹澤 かずこ

 

 「朝、起きた時にその日の体の状態をチェックする、昨日の疲れが残っていないか、顔色は悪くないか、声の調子はどうか。自分の発信する体の情報をきちんとキャッチすること、それが未然に病気を防ぐことにつながる」NHKの健康フェステバルの中での永六輔さんの話を聞いて、全くその通りと反省することしきり。
このところ私は、体の悲鳴を余りにも無視してきた。頭が重い、首が凝っている、目の奥がジーンとする、顔色が冴えない、足が浮腫む、寝つきが悪い。10年前には、この程度の状態は、土日に家でゆっくり寛げば殆ど解消された。ところが最近ではこれが日常茶飯事になってしまい、土日もすっきりしない。
でも、この程度という気持ちがまだどこかにあって、昔の栄光にしがみつくように、何事においても過信していた。しかし、気持ちとは裏腹に体が付いてゆかなくなり、ある日突然に首が回らなくなったり、血圧が上がったり、帯状疱疹になったり。
昔は血圧が低かったのに、とよく口にして「何十年前のこと?」と娘に言われる。若いお医者さまも「降圧剤を続けること、仕事はほどほどに」と。これまでの私の辞書には「ほどほど」なんて言葉はなかった。「何でも一生懸命」が信条だったのに本当に情けないが、長寿社会を寝たきりにならず、健康に生きるためには、体の情報をきちんとキャッチして早め早めに手を打ってゆくよりないだろう。



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