2003年(平成15年)5月20日号

No.216

銀座一丁目新聞

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花ある風景(130)

自律の精神我が誇り

並木 徹

 久し振りに満州小学唱歌「わたしたち」を聞いた。「寒い北風吹いたとて/おじけるような子供じゃないよ/満州育ちのわたしたち」。童心に立ち返って思わず口ずさんだ。(この歌は4番まである。作詞、作曲者は不明である)

来賓として招かれた大連一中創立85周年記念大会(5月18日・ホテルニューオータニ)でこの歌を聞こうとは思わなかった。歌ったのは友好校として出席した大連・旅順の女学校・師範のOGたちであった。大連一中は大正7年4月、大連中学校として創立された。大正12年4月、大連二中の開校に伴い一中と校名を変えた。敗戦に伴い昭和21年、28年にわたる歴史を閉じた。学校はなくなったが節目節目に記念大会を開いてきた。五年前2100名を数えた校友も現在は1700余名となった。私が会長をしている二中と一中とは兄弟校にあたる。校歌が一緒である。作詞沼波武夫(元一高教授)、作曲近森出来治(3回生)。
歌詞がいい。とくに3番がすきだ。「緑に澄める天つ空の/広きを己が心として/亜細亜に強き魂を入るる/務めを果たす人とならん/励めはげめ/撓まずはげめ」一中の校友とともに力一杯歌った。
意外な発見をした。ニ中の応援歌と思い込んでいた歌が一中の「凱旋歌」であった。記念パーティの始めに歌われた。作詞藤飯勉(3回生)作曲呉泰次郎(3回生)である。「自律の精神我が誇り/櫻吹雪の魂こめて/緑の旗の行くところ/一中(二中)健児の意気高し/挙げよあげよ勝鬨挙げよ/大連一中(二中)輝く母校」
この歌は在校中、ひとりでよく歌った。いまなお「自律の精神」をまがりながらも堅持しているのはこの歌が染み付いているからであろう。一中の精神が「自主、自律」というのはよくわかる。二中の精神は「まけじ魂」であった。
風土、歌は子供に大きな影響を与えるように思う。赤い夕日に照らされた広い大地ではぐまれ、厳しい寒さの中で体を鍛え、気鋭の教師たちから教えられた生徒達が「務めを果たす人となる」のは当然なことかもしれない。大連二中は今年10月、名古屋で創立79年全国大会を開く。

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