2002年(平成14年)8月1日号

No.187

銀座一丁目新聞

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安全地帯(17)

−スポーツ礼儀に始まり礼儀に終わる−

−真木 健策−

 

 記者時代、群馬県高崎市にある高校野球部の監督に話を聞きに行った。驚いたことに練習中にもかかわらず、野球帽を取り、直立不動の姿勢で「こんにちは」と部員達が挨拶した。こちらも慌てて、手をあげて応じた。すがすがしい気分になった。20年も前である。スポーツは礼儀に始まり、礼儀に終わると思った。
 夏の公式戦を最後にユニホームを脱ぐ鹿児島実業高校野球部監督、久保克之さんが毎日新聞の「人」に取り上げられていた(7月21日)。やはり「礼儀」はうるさかったようである。久保さんはどんなときも「高校野球は最高の教育の場」と信じ、「礼儀」だけはたたき込んだ。部員が来客に首だけで挨拶すると、雷をおとしたという。
 考えてみれば、日本の野球はアメリカのように地域にねざしたものではなく、明治のはじめから学校教育の場で育てられてきた。高校野球はあくまでも教育の一環である。だから部員の不祥事、関係者の不名誉な出来事を極端に嫌う。それでいいと思う。
 毎日新聞から出ている「センバツ野球50年」(別冊1億人の昭和史)によると、球児たちの宿屋での部屋の整理整頓はよく、スリッパなどもキッチンとそろえており、お手伝いさんの仕事がないくらいであったという。球場以外でも選手たちは礼儀正しいかった。そろそろ夏の甲子園野球が始まる。大いに楽しみである。

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