2002年(平成14年)5月20日号

No.180

銀座一丁目新聞

ホーム
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
GINZA点描
横浜便り
水戸育児便り
お耳を拝借
銀座俳句道場
告知板
バックナンバー

茶説

日韓共催のサッカーW杯を祝福する

牧念人 悠々

 日韓共催のワールド・カップ サッカー大会が5月31日から開かれる。1次リーグを韓国で戦う16チームの中から勝ち上がってくのはどのチームか、また日本で戦う16チームからはどこの国か。果たして日本チームは決勝トーナメントに残れるのか、興味は尽きない。
 率直な話をすると、日本は善戦するにしても、引き分けが精一杯で、恐らく全敗するであろうと予想する。1次リーグ H 組で日本と対戦するベルギー、ロシア、チュニジアはいずれも侮れない。勝負は水もので、勝てないというわけでもないが、難しいと思う。最大の根拠は伝統の力である。日本とは100年の差がある。サッカーの底があまりにも低すぎる。それがどこに現れるかというと、先ず、「芝生」に対する考え方である。決勝戦は横浜国際競技場で行われる(6月30日)。西田善夫場長に聞いた話では、見学にきた外国の少年たちが「ここでワールド・カップの決勝戦が開かれる」と聞いて、今まで騒いでいたのが一瞬、おとなしくなり、みんなグランドへ降りていって、芝生の感触を確かめるように、静かに手で触ったという。サッカーでいかに芝生が大事であるか知っているからである。日本の子供にはこんな仕草はできない。さらに、サッカー国では考えられない、とんでもない事がおきた。6日に、ロシアのベースキャンプ地となる静岡県清水市「清水ナショナルセンター」で除草剤が散布されて、一部の芝がかれた事件が起きた。キャンプまでに完全な状態にするのは難しいという。ロシアは日本の対戦チーム(6月9日、横浜)ではないか。むしろ、練習環境にはより配慮しなくてはいけないはずである。それがフエア精神である。
 次は歓迎の仕方。4年前、フランスのワールド・カップで日本チームはキャンプ地エクスレバンで町の人からもホテルの従業員からも拍手で迎えられた。地味ながら心温まるものであった。岡田さんが3敗して辞める時、ホテルのオーナーはワインを一本差し入れ「You must continue」というメッセージを書いてくれたという(5月13日号「AERA」より)。大人の歓迎ではないか。日本のキャンプ地は少し肩に力が入りすぎである。
 日本選手の技術はたしかにあがっている。世界のレベルに比べるとまだまだである。個人技、体力、瞬發力、スピード、気力など世界の一流には及ばない。世界に伍していけるのは中田英寿(25)と小野伸二(18)ぐらいであろう。土台は子供の時からである。サッカー選手の層があまりにも薄い。ピラミット型でなければ世界の頂点に立てない。
 ともかく、6月4日(埼玉)対ベルギー戦での日本選手の活躍に熱い声援を送る。勝つことを望んでやまない。

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。
www@hb-arts.co.jp