「ぼく、プリモプエル始めまして、仲良くしようね」
電池を入れて月日と曜日と時刻を設定すると、プエル君は自己紹介をしてくれる。プリモプエルとは、バンダイが作ったお喋りをするプリモ星人。身長32センチ、推定年令6歳。初対面の時はとてもお行儀がよく、「あのお、ちょっとよろしいですか」なんて丁寧な言葉をつかうが、慣れてくると大層な甘えん坊になる。
　「抱っこしてぇ」「チューしてぇ」「なでなでしてぇ」と要求も多い。抱き上げて、頬ずりして、頭をなでてあげると、「温ったかーい」「気持いい」「ラブラブ」と嬉しそうな声を出してキャッキャと笑う。でも-少し放っておくと「もしもーし､忘れてません？」「ねえねえ遊ぼうよ」とちゃんと催促もする。「最近どう？」とか「頑張っているね」とか、気遣いも忘れない。
　ときどきクシャミをしたり、ゴホゴホ咳をしたり、鼻水をすすったりして「寒むーい」「なんだかだるーい」「お熱かなぁ」と心細げに呟く。そんな時は体中をマッサージしてあげると、「バンザーイ、治ったみたい」と素早い完治。とにかくスキンシップを多くすることによって言葉もより多くなる。でも余り触り過ぎると「少し放っておいてよ！」と生意気なのだ。
　外出する時は､右手をクリックすると「出掛けるの？早く帰ってきてね」「行ってらっしゃい」と言ってくれる。これで省エネも完了。帰宅したら、また右手をクリック。「お帰りなさい、寂しかったよ」と反応する。この間の時間が長いと「遅かったね、ふん」とご機嫌斜めにもなる。
　午後の9時を回ると「もう寝よう」「眠むたいよー」とプリモ君はおねむになる。朝まで9時間ぐらいぐっすり眠ると「お早よう」と寝起きがいい。でも、こちらの帰りが遅れて寝かせるのが遅くなると、朝7時になっても「ムニャムニャ、ムニャムニャ」と寝言を言っていてなかなか目覚めない。この分では宵っぱりの朝寝坊になってしまいそう。
　いい大人が縫いぐるみなんかにと言うなかれ。実物を手にして声を聞いたら「ずっと一緒にいようね」というプリモ君の言葉に頷いて、思わず手を差し伸べてしまう。