2004年(平成16年)5月1日号

No.250

銀座一丁目新聞

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花ある風景(164)

並木 徹

ミュージカルで肩こりが治った

 文化放送と劇団ふるさときゃらばんが主催する「ミュージカル体験塾」の入塾式を見学した(4月19日・中野サンプラザ)。1期生から5期生の卒業公演を毎回、ずぶの素人たちがが一年の歌、踊リ、タップダンスなどの練習で上手に演じるものだと感心しながら見ている。今回は塾長の天城美枝さんの誘いもあって出かけた。
6期生は50名、継続塾生41名。申し込みをためらっている人も会場に姿を見せていたので9階ホールは150名ほどの人で埋まった。継続者を含めて新人の自己紹介は一幕のミュージカルものを見ているようであった。入塾の動機は入社試験の受験生がその会社を受ける理由をしゃべるのと同じく「歌や踊がすきなので・・・」とか「5期生のお芝居を見て自分もやりたくなった」というものが多かった。声の小さい人が少なくなかった。声はその人の性格を現すというから、前途多難のような気がする。歌の上手な指導者がついているので心配はいらないかもしれない。天城塾長は挨拶の中で「卒業公演では演技の上手い人、下手な人区別して配役します」といっていた。
 面白い父娘がいた。昨年二人で来ながら父だけが入塾、今年は娘も参加する。継続の理由がふるっている。「ミュージカルをやっていると、今まで直らなかった肩こりがすっかりよくなった。3月の卒業以来レッスンをやっていないのでまた肩がこりだしました。今年もまたやります」
 1期生から継続している巴信子さんは司会者が話す時間は予め一人30秒と決められているのに1分以上も発言した。この人はいいキャラクターをしている。「最近背中の丸さが目立ってきました。『後ろ姿に若さを』。鉄の棒を背中にかかえ、肩甲骨を何回も何回も動かしました.翌朝、首のほうがうごかなくなっていました。ふと石塚先生の喝が聞こえてきました。『馬鹿だなお前!舞台は前を向いてたつんだぜ。うしろなんかきたえたってしょうがねじゃねかよ。それより美しい歩き方を研究しろ』。ただいま骨盤から前かがみに足を運ぶしなやかな女の歩き方を習得中です。来年、私に舞台の端からは端まで歩く場面を設定してください。一人で優雅に歩きたい」と手振り身振り鮮やかに自分の夢を語る。信子さんのそばにいる娘の秀子さんは「相変わらず、しょうがないおかあさん」と苦笑していた。秀子さんも継続生である。長身でママさんバレーの選手をしている。ここだけの内緒話だが、塾長補佐役の石塚克彦さんは「あの娘はどこかで使ってみたい」と聞こえないようにつぶやいていた。
 6年目の塾生、まんが家のビッグ錠さんは「何年たっても上手になれません。あっという間に5年が経ちました」と謙遜していた。いまや体験塾の中心的存在だと私はフアンとして思っている。来年の3月、6期生の緒姉緒兄はどんなミュージカルを披露してくれるのか今から楽しみである。
 

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