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「和すれば益。争えば害」(周恩来)
牧念人 悠々
日中首脳会談が11月に実現できそうだ。その芽は7月にあった。当時のブログ(8月28日)に次のように書いた。
「日中首脳会談実現へ。日本と中国の首脳がいがみ合っては話にならない。出先で暴走の恐れもある。これが一番危険だ。中国との戦争は二度と繰り返してはならないというのが先の大戦の教訓である。福田康夫元首相が習金平国家主席と7月下旬に会談したニュースは朗報だ。安倍晋三首相と習金平国家主席との会談の望みが出てきた。11月、北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議で実現の見通しである。
お互いに憎しみ合っても実りはない。誠実に話し合ってこそお互いの成長が望められる。平和維持こそ外交交渉の最大の成果である」。
この間、いろいろなルートで会談実現へ努力が重ねられてきた。もともと習金平主席が「中国と日本は住所変更できない間柄ですね」と会う毎に言っていたと元中国大使の丹羽宇一郎さんはいう。また習金平主席とは十数回もあったことがあり「親日派でフェアな人物という印象を持った」とも言っている。さらに習金平政権を支える李源潮国家副主席(63)、汪洋国務院副総理(59)、孫政才重慶市党委員会書記(50)、胡春華広東省当委員会書記(51)らはいずれも「知日派」だという(丹羽宇一郎著「中国大問題」PHP新書)。
このことを考えるならば、中国側は尖閣列島をめぐる問題、安倍晋三首相の靖国神社参拝などに神経をとがらし、さらに国内経済の落ち込みから国内の不満を外に向けざるをえない事情があって首脳会談をのばさざるをえなかったのであろう。いずれにしてもいつまでもアジアで重要な位置を占める両首脳が会談しないというわけにもいくまい。「小異を捨て大同につく」という便利な言葉があるのではないか。永久的な平和構築が日本にとっても中国にとっても最上の政策である。この基本をきちんとして抑えておれば、多少のトラブルが起きても事は治まるのが理というものであろう。
中国が14億の民を食わしてゆくのは大変である。共産主義では限界がある。ケ小平が1978年に改革開放政策をとらざるを得なくなった所以である。ところが都市と農村の格差がひどくなる。農民の都市流入がはげしくなり、優遇されている「都市戸籍」と冷遇されている「農村戸籍」の問題が起きる。農民の暴動、少数数民族の反乱・テロも後を絶たない。共産党政権は形を変えざるを得なくなっているように思える。中国経済が成長している間はその不満を吸収してきた。ここ数年経済成長が5%程度ではそろそろ限界に来る。その時期が2020年ごろと私は見る。ソ連邦は70年で崩壊した歴史を見れば1949年に成立した中国共産党政権の寿命は2019年ということになる。ソフトランデングするか、ハードランデングするかは習金平政権の手腕にかかっている。その意味からも中国は日本から率直に学ぶべきだと思う。日本もまた米国に次ぐ経済大国になった中国の存在を認めて敵視するのではなく平和共存の方策を追求すべきである。「和すれば益、争えば害」という周恩来の言葉が心に響く。
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