2013年(平成25年)11月10日号

No.591

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安全地帯(411)

湘南 次郎


JRフルムーンパスのお話


 他人の旅行の話や写真を拝見させられるくらい億劫なものはない。そのうえおみやげと。折角だから頂くがかさばるか、旨いものなし。そして心ならずもお世辞やお礼も言わねばならぬ。失礼だが旅行は自分で楽しんでいればいい。

 そこでご参考に、JRフルムーングリーンパスの活用だが、ヒマがあって旅行好きなら、夫婦は一身同体だから付き合ってもらって、足して88才以上(妻18才、夫70才でもいい)正式の夫婦ならぜひこれをおすすめする。まして高齢になれば入るカネは少なくなるが、ひまが出来るので大いに利用した方が良い。そのうえ体力向上、頭の体操、識見を広め、夫婦和合(お気の毒だが車中は一緒)?にもなる。日本語通用、水、景色、人情、風俗、時刻正確、みんないい。

 詳細はJRの広報にお任せするが、とにかく利用期間、特別の列車の制約はあるが大体のグリーン車、特急、普通のJR線は乗り放題。夫婦二人で5日(80,500)、7日(99,000)、12(124,400)日間。好きならその期間、日本中のJRは乗り放題、乗り降り自由だ。筆者のような平民はグリーン車も魅力だし、列車旅行の好きな人には垂涎だ。JRには申し訳ないが、うまくプランを考えればすぐモトは取れる。

 例えば東京6:32発東北新幹線、津軽海峡線、室蘭本線と乗り継いで行くと札幌に15:44到着、まる一日の運賃等は片道30,580円、夫婦往復で122,320円なのだ。おまけに帰りに、特急寝台「北斗星」のB2(個室デユエット)を利用すれば特別料金なしでホテル代が浮き、さらに期限の翌朝上野到着9:32の降りるまで時間をかせげるのだ。

 昨年10月に本誌に掲載したが、7日間のフルムーンパス利用のうち、稚内→鹿児島中央の日本縦断、全行程3069.5qを一日間以内の23時間51分で制覇した。夫婦年齢合計169才であった。勿論、それから、帰途も途中の名所を見学し、アチコチのホテルへ泊まり、期限内を有効に使った。妻も似た者同志で好奇心旺盛、心よく協力してくれた。半年ぐらい前から時刻表と首引きで、深夜まで相談して練りに練ったプランだった。だがあとで、なんとインターネットで簡単に出でいたのにがっかかり、鬼の首でも取った気持ちも文明の利器にはかなわない。

 筆者の旅行は、プランに基づきネット申し込みでホテルが決まり、旅行会社へフルムーンパスの購入と特急券(費用なし)の申し込みに行けば、これで旅行の楽しみの半分は終わる。あとは好天と元気で実行あるのみだ。

 鹿児島では定期観光バスで行く知覧の特攻記念館で涙し、開聞岳では勇士が翼を振って別れを告げたのを思う。北海道では「線路上に野生動物が出ますと急停車しますのでご注意ください」とよく放送がある。前にも鹿が出て線路上をウロウロしてどかず、札幌駅で特急の接続に遅れ、列車を待たせ駅員の誘導でやっと間に合った。北九州の唐津の呼子では、生きたイカの刺身を賞味し、勘定がどうも高い。おかしいと思ったら小さく100g、大きく1,000円と書いてある。一ぱいが1,000円と勘違いして3,000円もとられ大失敗。京都でのこと、駅近くの料理店で高い晩飯を食べたら、翌朝のホテルのサービス朝食がそっくりなのにガッカリ。しかも、前夜9時から夜泣きそばサービスがあり、晩飯を後悔した。

 もう、こんな珍道中を20年も毎年やっているが、なんとか西国三十三か所の寺めぐりに御朱印帳を持参、コースの途中にお寺の参詣も入れながらとうに満願している。棺桶の中の荷物にするつもりだ。このごろは、だいぶ物ぐさになってきて、プランを立てるのにタクシーいらずで、なるべく駅周辺で大浴場(できれば温泉)のあるホテルを探す。ツイン、禁煙、値段は手ごろと難しい。ヒザが痛いので和室はおことわり。だからホテルや予約の研究で旅行関係のインターネットだけは詳しくなる。

 今年の11月は7日間東北、京都、若狭、四国の紅葉見物を手配済み。そして、笑わないでいただきたいが、もう来年春のプランを立てている。東京(上越新幹線)→新潟(フェリー)……→小樽(別会計)→札幌(付近観光)(室蘭本線・津軽海峡線・東北新幹線)→東京(東海道新幹線・北陸本線・七尾線)→七尾→(レンタカー能登半島一周)(別会計)→七尾(七尾線・北陸本線・山陽新幹線・九州新幹線・枕崎線)→指宿(枕崎線・九州新幹線・山陽新幹線・東海道新幹線)→東京で、7日間の行程だ。チョット強行であるが、なにしろ先がない。せいぜい、JRには申し訳ないが権利を行使させてもらって楽しもうと思っている。

 それには、何とか成功させるためには妻をおだてて、夫婦元気で小遣いためて、頑張らなければならぬ。読者諸氏で旅行の趣味のあるヒマが出来た方々には時刻表でプランを立て、日本国内フルムーン、楽しい旅行を目いっぱいされることをぜひおすすめする。