2013年(平成25年)6月20日号

No.577

銀座一丁目新聞

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山と私

(99) 国分 リン

― ガネッシュ&マナスル・ヒマール展望トレッキング10日間 ―  

 4月24日(水)トレッキング3日目、ソムダンの家族たちと記念撮影をし、別れを告げ、テントを片付けたポーター達の後をゆっくりと歩き出した。陽の光を背に受けると温かく気持ちの良い出発になった。2日前の道を戻る途中、この旅で何度も目にした赤ちゃんを抱いた若い女性、日本では乳母車主流だが、母子の表情の温もりが好いので、写真の許可を得て撮った。クルッパダ パンジャ(峠)への道は雪も融け、安心して登れたが、相変わらずガスの中で眺望なし。あきらめてまたラリグラスの赤い花の群落の中を歩く。林道へ出てしばらく歩くと、「パルドールピークが後へ見えますよ。前がランタンリルンです。」白い大きな峰々を見て興奮した。眼下に桃色の群生地が見えた。「今日はあの桃色群生地のカルカでキャンプです。」数えきれない濃淡の桃色ラリグラスを背にテントが張られ、眼前に白い峰々が見えるカルカ(3320m)で、素晴らしいランチタイム。ラーメン・五目ピラフ・もろキュウ・カリフラワー・人参の温野菜サラダなどのメニューが毎食で、岩崎先生の食のこだわりと皆への旨いものを食べさせたい心遣いが、いつも期待できた。午後3時以降にまたにわか雨が降り、夕方の山は見え隠れ、モルゲンロートを期待したが、方向が悪く朝日に燃えることも無かった。  
               
 4月25日(木)シャクナゲカルカからタンプチェット(1786m)の村を目指し、再び初日の道をひたすら下り、時々子供たちがひょっこり顔を見せるが、遊びなのか牛追いなのか、カメラを向けると喜び、自分の姿を確認する。10時に緑一面の牧草地でお茶タイムをし、次は初日のテント場のゴテンを通り過ぎ、
ガドランの村の新しいロッジに寄り、かりんとうで紅茶タイム。ここでも若い母親が赤ちゃんを抱いていた。日差しが強い中、畑の中の道を通り、タンプチェットの村に到着。なんと畑の中にテントが張られていた。牛が傍でもうもう泣いていた。今日は暑かったので、「昼にそうめんを食べますよ。」エベレストに3度行って、何が食べたくなるかよく知っている住吉ドクターが私に送ってくれた「小豆島素麺」本当に旨かった。皆で村に出掛けた。家畜の牛や鶏が一階に住み機織機が各家にあった。スナック菓子やコーラや水を売っている店に寄り、「地元の織物が欲しい。」と云ったら、女性の普段着ている帯にしている模様入りの布が買え嬉しかった。20分ほどで村の端から端まで歩けた。オープンで開け放された家々は決してきれいとは言えないが、温かみが伝わった。

 4月26日(金)最後のテント泊に別れを告げ、タンプチェット(1786m)から最後の楽しみのタトパニ(2607m)温泉へ向け出発。大きな吊り橋を渡り段々畑の間の道を登り、8時30分バッティで紅茶休憩。ここでまた、手造りの袋や刺繍の布を見つけ喜んで求めた。大麦畑やじゃがいも畑の間の道からタトパニの村を見つけ、喜んで歩いた。11時半タトパニのロッジ到着。岩崎先生が「地元の菜っ葉を買ってくれ。」ロッジの娘がたくさんの小松菜を抜き売ってくれた。日本からの牛蒡と人参のかき揚で天ぷらそばの御馳走、最高だ。水着の用意をして温泉へ、歩いて5分、プールのような広い四角い湯船が三つあり、左右に着替え室が5部屋あったが、中は真っ暗で汚れていた。急いで水着に着替え、入浴した。深く温かいお湯へ、1週間ぶりにゆっくり温まり、ホースから出ているお湯で髪を洗いさっぱりした。真ん中はぬるめ、左側は地元の男性陣が入っていた。まあお風呂上がりのビール「エベレスト」は格別に旨かった。夜はお世話になったネパールの方たちに岩崎先生が飲み放題のサービスと、コックさんから手作りケーキが私たちに振舞われ、賑やかな夕食で、お世話になったお礼の会も出来た。
                
 4月27日(土)トレッキング最終日。昨夜岩崎先生から「4時起きで温泉に入りますよ。月明かりでゆっくり景色を見るのはいかがですか。」起こされる前にUさんと私は水着に着替え、Nさん、Tさんは顔を洗いに一緒に行った。月明かりの静寂の中広い温泉へ3人、何にも代えられない思い出になった。
8時にタトパニからタンプチェットへ下山開始、途中谷間から見える真っ白い山は左が普永6676m,右は無名峰6169mでチベット(中国領)と岩崎先生が山座同定して教えてくれた。
10時カトマンズへ戻るバスに乗込み、今回のトレッキングは終了した。

 今回のネパールは私にとって二回目だったが、カトマンズの喧騒と人混みはより増したと思う。

 でもラリグラスの花と、白い峰々に囲まれ、段々畑が広がった異次元世界のネパール病にかかり、来年こそは、ブルーポピーに会いに来よう。