2013年(平成25年)6月1日号

No.575

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山と私

(97) 国分 リン

― ラリグラスの花園(ネパール)を訪ねて ―  

 その斜面は深紅と黒緑に包まれていた。一歩足を踏み入れるのをためらうほどである。深呼吸をして
そっとその空間に入った瞬間、ラリグラスのクイーン気分になった。日本では見られない深紅の花をたくさん咲かせた石楠花(ラリグラス・ネパールの国花)の大木の間を降りる。同行女性3人もこの光景に驚き感動の波が伝わった。スケールが大きく全山がラリグラスの深紅色に染まっていると言っても過言ではない。ここは3400m地点、この高さでは日本ならまだまだ雪景色の季節である。しかし奄美大島と同じ緯度なので、この時期にラリグラスの真っ赤な花がたくさん咲いていた。一歩一歩を夢見心地でその斜面を下りた。 

 この地点はネパール首都のカトマンズから陸路バスで8時間地点のゴテンにテント一泊、翌日トレッキングで雪のクルッパダ・パンジャ峠3620m越えをして8時間後のソムダン3270mでテント泊、そこから山間へ3時間の場所である。いわゆる秘境である。
「岩崎先生、この場所を御存じだったのですか。この場所だけでも、この旅の目的は達せられました。」と、皆、口々に感謝をした。「いやぁ、お花見は難しいですが、良かった。明日はピンクのラリグラスの花園へ行き、そこへテントを張り、ランタンリルンとパラドール・ピークの眺望も十分楽しんでください。」

 翌日8時にソムダンの家族に別れを告げ、景色とサクラソウの群落を愛でながら、クルッパダ・パンジャ峠まで喘ぎ登った。山の眺望は雲の中、残念だ。峠越えをしたら、赤色に混じり薄桃色や濃い桃色の花を咲かせたラリグラスが次々現れ、山の東斜面は一面、桃色ラリグラスの花に囲まれたユリカルカ(放牧地3320m)に、12時到着し、今夜のテント場になった。
 とりあえずラリグラスの真っ赤な群落の美しさと、桃色花の凄さと感激を伝えたく、この旅の第一弾とした。

 岩崎洋先生(スポニチ登山学校講師)に10日間位でネパール行の企画をお願いした。
「僕は大勢のトレッカーが居る場所は嫌いなので、多分現地の人にしか会わないですよ。」
6日間一人の欧米人らしい女性以外は、本当に現地の人だけであった。
「ガネッシュ&マナスル・ヒマール展望トレッキング10日間」
−温泉、サクラソウ、シャクナゲお花見も楽しむー 4月20日〜29日