2012年(平成24年)7月20日号

No.545

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茶説

大津の中学生自殺事件とネットの波紋

 牧念人 悠々

 ネット社会はいまや独裁者を倒し、反原発デモへ民衆の大動員を果たす。さらには事の真相を暴露する。昨年10月、大津で起きた中学生の自殺事件についてネットで加害者の少年の氏名、学校の担任がいじめを知りながら何もしなかったことなどを暴露した。このネットのおかげ事件は急展開を見せた。この自殺について知人の女性から次のようなメールが送られてきた。

「毎日ブログを拝読いたしております。
先週の木曜日・大津市の中学生のいじめ自殺の件ですが、今朝、YouTubeの動画サイトで加害者生徒の名前、顔写真、自宅写真、両親の名前、顔写真、勤務先の名前、TELNo、等がUPされていました。
担任教師の写真はもちろん、自宅写真、加害者生徒の祖父(元大津署の警官)の写真までです。
教育委員会や警察が事件を隠ぺいする理由が解りましたが、今、私は心臓がどきどきして、とても辛いです。
とても恐ろしいです」(原文のまま・註7月10日午前8時30分届く)、

 YouTubeを見るとその通りであった。このように加害少年の顔写真、本名等を明らかにするのは少年法違反であるが事の真相が良くわかる。滋賀県警と大津警察署は7月11日夜、自殺した少年に対する暴行容疑で大津市教育員会と中学校を家宅捜索、捜査を始めた。極めて異例な警察の行動である。更には被害者の両親が市と学校を相手に起こしていた損害賠償裁判が一転して和解の方向になった。
「銀座展望台」(7月5日)に次のように書いた。『▲大津市で昨年10月、中学生が自宅マンションから飛び降り自殺自した。それから8ヶ月立って自殺した中学生は「自殺の練習をさせられる」いじめにあっていたことが分かった。無残、哀れ。言う言葉なし・・・

 先生方はだれも気がつかなかったのか不思議でならない。日ごろから子供たちの動作をよく観察しておればよくわかるはずである。休憩時間、放課後、子供の様子をそれとなく見ておれば「いじめの兆候」が見て取れる。先生方の怠慢というほかない。一人の生徒の命を救えずして何が先生だ』

 やはり、担任の先生は「いじめ」を知っていた。こんな先生がいる。無気力というほかない。何故8ヶ月も事実が隠されていたのかというと、どうも加害者の子供親にPTAの元会長。現役員がいるし、ある子供の場合、祖父が元警察官であることと関係があるようである。小中学生の自殺は156人(2010年度)を数える昨今、ある程度事実を明確にして同じようないじめによる自殺が起きないようにすべきではないか。公益が大切かブライバシーを保護すべきかを比較考量すると公益を重視すべきだと思う。今回の滋賀県警の動きは遅きに失したとはいえ妥当である。

 新聞記者は何をしていたのかと思う。今回の自殺事件は新聞を読んでいるだけでは何故いじめによる自殺が隠され、真相があいまいにされてきたのか分からない。マスコミの発表待ちの姿勢、ブライバシーを隠れ蓑にして取材を怠っては真実を明らかにすることはできない。今後の奮起を待つ