2012年(平成24年)3月10日号

No.532

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
いこいの広場
ファッションプラザ
山と私
銀座展望台(BLOG)
GINZA点描
銀座俳句道場
広告ニュース
バックナンバー

 

山と私

(84) 国分 リン

― FRCC体験山行「青梅丘陵 雷電山」 ―  

 「FRCCは女性がん体験者が自己責任のもとに毎月第二日曜日に登山を安全に行い、登山を通じて生きる意欲を増していくことを目指して設立された登山クラブです。会員は皆自己責任の認識の下に山行に参加しておりますが、体験者の山行サポーターとしてお力添えを戴けましたら心強い限りです。」と事務局から会則・入会申込書・保険書類等が送付された。山を登っていていつも感じていたことは森林浴と新陳代謝とストレス発散は健康の元ということ。私も何か役に立ちたい思いが強くなった。
 サポート体験の申込みをしたら、立派な第128回登山計画書が届き、10年目のクラブと感心した。

 2月12日 久しぶりにまだ暗い道を歩き、早朝の電車に乗り、立川駅に着いたら「FRCC」橋本代表(私がこの会を知るきっかけの人)に会い、参加者と一緒に青梅線に乗った。今回リーダーの松本コンビに紹介され総勢12人が軍畑駅で自己紹介をして、8時45分車道を出発。いつもより少ない参加者という。東京女子医大山岳部がサポート隊に参加しているが、今回は試験近しとのことで欠席。こんな強力な山行サポートがついているなら安心である。冷たい風が頬を打ち、手袋は必需品で、皆、防寒対策は万全のようだ。榎峠登山口でリーダー達がテスト無線交信をする姿に驚いた。それに下見を大雪の日にきちんとしているのも凄いクラブだ。そこからは樹林帯の中階段上の急登が続く。「一時間のこの登りはハイキングじゃないわね」でもしっかり歩き、遅れる人もいない。皆自覚を持ち、トレーニングをしているようだ。雷電山494bに10時30分到着。頂上は標識と樹林の中で集合写真を撮り、先を急ぐ。アップダウンを繰り返しながら「辛垣城跡」の標示に周囲を見渡すと苔むした石垣やいかにも山城が連想できた道を歩き、名郷峠の小さな石の祠に挨拶をして、また登るとベンチがあり日が当たり見晴らしの良いピークで昼食タイム。ザックの中からここまで皆のため柚子を30個も持ってきた人もいた。和気藹々私もその中で笑っていた。三方山から矢倉台の東屋へ着くと眼下に青梅市街地が、はるか遠くにスカイツリーが見えた。前後に歩いていた方と話ができた。「私は乳癌だったの。橋本先生の呼びかけで、富士登山で一年がかりで第一歩から訓練を受け500人で富士山を登ったのよ。それからFRCCへ入って山へ。乳癌は10年後、20年後も再発するかもなのよ。」皆が心の蔭を持ちながら、明るく山を登っているのを知った。三々五々おしゃべりをしながら歩く。青梅丘陵の木々の間から富士の白い姿も見え、千手観音像で最後の休憩を取った。青梅丘陵のハイキングコースは桜の木も多く、地元の人の散歩コースになっていて犬を連れた人や、山道を走る人たちに出会った。山道が終わり舗装道路へ出て、19日の青梅マラソンのポスターを見つけた。来週は大賑わいの街並みを想像しながら14時40分青梅駅に着き、体験山行は無事に終わった。

 FRCCは今年10年目を迎え、記念山行や、ピアニスト小山実稚恵さんのボランティアで記念コンサートや、国外の同じ目的を持つ団体の招待等を行うことで節目を迎えられるという。
 微力ながら少しでもサポートができることを願う。