花ある風景(445)
並木 徹
関晴子さんのピアノ独奏会
久しぶりに関晴子さんのピアノ独奏会を聞く(1月27日・ルーテル市ヶ谷センター)。尺八の渡辺淳さんがゲスト出演した。関さんとはボランテア活動の仲間である。全席自由席である。舞台右側の奥の方の席(J17番)に座る。偶然にもメキシコから帰国中の黒沼百合子夫妻、黒沼俊子さんと会い、雑談を交わす(2月1日離日)。関さんと知り合ったのは黒沼百合子さんのウァイオリンコンサートでいつも伴奏を務められていたからである。御両人とも今なお音楽活動をされているのは喜ばしい。
初めにショパン:ポロネーズ第7番変イ長調『幻想ポロネーズ』作品61を聞く。ゆったりした調べである。16曲あるポロネーズのうち『幻想』と名づけられたのはこの曲だけだそうだ。解説パンフには「ジョルジュ・サンドとの関係が続いた1836〜1846年間がもっとも円熟した作品が生まれたといわれる」とある。ショパンの作品中の最高傑作と言われる「幻想曲」ヘ短調作品49も1841年の作品である。女流作家サンドとの激しい情事を続けながら美しくも神秘的な曲を紡ぎだす。豊かな詩情の持ち主であったのであろう。独自の世界を開く。瞑想してひたすら聞く。
尺八の音色がこのように素晴らしいものかと再認識した。それだけ渡辺淳さんが優れた奏者であるということであろう。宮城道雄:『春の海』(尺八とピアノ)ピアノと尺八の音が恋人たちのささやかに語り合うように溶け合うのは見事というほかない。船歌の旋律は尺八の独壇場であった。渡辺さんがアンコールで演奏した映画「二十四の瞳」(1954年・松竹大船・木下恵介監督)の中で出てきた小豆島民謡は切々と心に響くものがあった。
このほかモンボウ:内なる印象、寺内園生:クリアー、寺内園生:ピアノのための組曲「斑鳩」などが演奏された。心が豊かになったひとときであった。
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