2010年(平成22年)10月1日号

No.481

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
いこいの広場
ファッションプラザ
山と私
銀座展望台(BLOG)
GINZA点描
銀座俳句道場
広告ニュース
バックナンバー

茶説

「一所懸命」と言うこと
 

牧念人 悠々

 「ねじれ国会」が始まった。中国漁船衝突・公務執行妨害事件、普天間基地移設問題、景気対策、財政問題など難問を抱える民主党政権は野党のはげしい攻勢を受けるのは必至の状況にある。到底「421人内閣」では太刀打ちできそうにない・・・等と考えていたら友人安田新一君が「一所懸命」という所感を送ってくれた。安田君は鎌倉在住で歴史には造詣が深い。所感を紹介する。

 「毎年正月2−3日に行われる大学駅伝の旧国道1号線(東海道)が藤沢市内に入る下り坂の途中、右側に名刹時宗総本山遊行寺がある。この寺の参道入り口の右には年代不詳の古い「榜示(ぼうじ)門前通道幅四間二尺」という高さ1bばかりの石の角柱が立っている。これは現在の土地境界石と同じもので、数字は前の道,即ち東海道の道幅を刻んだものなのだ。鎌倉時代源頼朝は幕府の政治機構として初めて侍所(武士の統制・軍事警察)・公文所(のちの政所で政務一般)のほか訴訟裁判を司る問注所を作った。昔は測量機械もなく縄や歩数で山・川・木・風景等を目印に置石や杭で標したであろうからと地論争は多かったに違いない。鎌倉時代の公的記録「吾妻鏡」にはしばしば問注所に出される土地争論の事件が出てくる。また、当時の言葉「一所懸命」(一生懸命)と言う言葉があるがこれこそ武士が領地を守るのに命をかけたのである。

 さて、現代に戻ろう。民主党代表選挙でお二人が堂々と「命をかけて・・・(内心アンナ約束をしてとハラハラしていたが)とよく言われたが、早速出番が出てきた。尖閣列島問題である。何かにつけ「友愛」とか「命の大切さ」を標榜していた方々が反対に「命を懸けて・・・」と身を鴻毛の軽きにおいて約束通り対応していただかなければならない。実に国家の威信を懸けた重大な論争になっている。大国中国に対するには、かたや総理、かたや一兵卒(ただし、中国にはカオ? 数百人の議員を中国に引率したイベント責任者)だがこの際、階級は問題ない。日本人として是非手を取り合って命懸けの収拾をお願いする。もちろん絶対に譲歩できないし悪例を作ってはならない(註・那覇地検は中国船長を拘留半ばで処分保留にして釈放、帰国させる。安田君が心配したようになってしまった)。領土問題は存在せず、国内法で処分して強制送還、冷静、粛々は結構だがハイそれまでよと一方通行で決着したと考えるようなお人よしでは困る。相手はあらゆる手段を講じても尖閣列島がほしいのだから理不尽な嫌がらせは続くだろう.。当方は徒手空拳、ナメラレパナッシ、切歯扼腕だけでは情けない。到底こちらが考えているようなタマではない。まさに元寇が始まろうとしているような危機なのである。神風は? 総理になって初めて安全保障の必要性がわかったとか、うまくいかなかなければ責任を取って辞めますとか「それで国の身上潰した」では命を懸けた約束なのだからすまされぬ。為政者の真価が問われている」

 私も安田君と同感である。菅内閣はどうやら長く持ちそうにない。