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日本の防衛と海兵隊の存在
牧念人 悠々
鳩山由紀夫首相が沖縄で述べた「学べば学ぶほど海兵隊が連携し抑止力を維持していることがわかった」という言葉はあまりにも遅すぎた。本誌は昨年9月10日号「茶説」で絶対多数を誇る鳩山政権のアキレス腱は「日米関係」かもしれないと細川護煕内閣の例を出して警告した。それから7ヶ月余。いまさら何をいうのかという思いがする。謙虚に人の言うことを聞くべきであった。
まず、第一に日本国の首相は、「自衛隊の最高指揮監督権を有する」。日本の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対して日本を防衛するのを主たる任務とする「自衛隊」の「最高司令官」なのだ。残念ながら鳩山首相にはその認識がまったく見られないのは悲しい。日本を守るのは日本自身である。その責任は重い。敵に攻められた時どう対応するかは国の重大事である。
核兵器の開発に狂奔する北朝鮮、さらに沈没した韓国海軍哨戒艇の原因が北朝鮮の魚雷攻撃によるとの韓国紙の報道、軍備の増強を続ける中国などアジアを取り巻く軍事情勢を考えるとき、日本に駐留する米軍の存在は無視できないはずである。平たく言えば、有事の際、即座に対応できるのは沖縄の海兵隊しかいない。それを普天間基地の移転先を「国外、最低でも県外」という民主党代表時の発言は「公約」でなく「努力目標」であっても軍事音痴といわざるを得ない。
日米安保条約により日本は米国に軍事基地を提供する義務を持つ。戦後65年間、米軍が日本に駐留するのはおかしいと真面目な顔して説く評論家がいる。「馬鹿も休み休みにいえ」といいたくなる。現在の在日米軍はアジア、中近東の平和のため、いつでも戦えるようにと、日ごろから訓練を重ねている。在日米軍の存在がにらみをきかして「抑止力」になっている。さらに言えば、日本一国だけで世界の平和を守れるわけでない。国際協力、国際貢献が求められる。それが自衛隊のイラク派遣であり、海上自衛艦によるインド洋上の給油活動であった。この国際協力活動を通じて自衛隊は軍事、海賊、多国籍軍などに関する貴重な情報を得ることが出来た。湾岸戦争時のようなお金だけの貢献ではなく、血を流す覚悟で臨む自衛隊の海外派遣はそれなりの成果を上げることができる。
鳩山政権は「日米同盟を深化させたい」などといっているが、現実にやっていることは日米同盟の破棄の方向である。今までの発言はあまりにも「場当たり的」である。その軽い発言がやがて国民に跳ね返ってくる。鳩山首相は心して発言せよ。
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