2010年(平成22年)1月10日号

No.455

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(170)

―2センチの差― 

 11月24日に行われたジャパンC(GT、東京・芝2400)は、例年になく外国馬の参加が多く(アメリカ3頭、イギリス2頭)、にぎやかな顔ぶれだった。初めて見るこれらの外国馬へのファンの関心も高かったようで、東京競馬場の入り口前には、いい場所を確保しようと前日から並ぶファンも多かったようだ。しかし結果からいえば、東京競馬場の入場人員は前年比91.6%だったというから、やはり不景気には勝てなかったというところだろう。ジャパンCの売り上げのほうはどうかというと、前年比86.5%というから、JRAの落胆も大きかっただろう。
 一方、レースのほうは、外国馬の不振にはがっかりさせられるものがあったが、ウオッカとオウケンブルースリの直線での叩き合いは白熱したもので、見ごたえのあるものだった。写真判定の結果、ウオッカとオウケンブルースリとの差は2センチというから、歴史に残る名勝負ということになるだろう。2着に敗れたオウケンブルースリにとっては、馬群から外に持ち出せなかった不利が響いた。あの不利さえなければ、勝っていただろう。
 ウオッカの側からいえば、「勝ちを拾った」ということになる。それでも「勝ち」は「勝ち」だから、勝負の世界は厳しい。2センチの差に泣いたオウケンブルースリにとっては、今後に期待するしかない。「諦めるな。明日という日があるさ」と、馬にだけでなく、自身にも呟いたファンも少なくないだろう。
 

(新倉 弘人)