2009年(平成21年)8月1日号

No.439

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(163)

―勝負の厳しさ― 

 競馬ファンは、狙った馬の勝ち負けだけに関心を持つ傾向が強いようだ。「当たり」「ハズレ」がすべてとはいわないまでも、レースの結果に一喜一憂する。馬券を買うファンとしては、当然のことといえる。配当の対象にならない3着以下の馬のことなどは、どうでもいいといったふうだ。
 競馬では馬が主役であるのは当然として、騎手のほうは実績のある騎手はともかく、勝利数の少ない騎手にはファンも眼も向けないように見える。ところで、今年の前半が終わった時点で、騎手の勝利数を見てみると、まだ1勝もできないでいる騎手は30人もいる。1勝しただけの騎手は25人。合計55人にのぼる。これに対して、10勝以上を挙げている騎手は54人。こう見てくると、騎手の競走の厳しさが分かる。
 去年デビューして1年間に1勝もできなかったが、今年になってようやく勝った騎手もいる。大江原圭騎手などは、デビュー以来1年4カ月、121戦目での1勝だというから、1勝までの道程は長かった。勝つことの難しさを、改めてかみしめたことだろう。努力なくして勝利は得られないが、努力だけでも得られないのが勝負であることも、人々は知っている。そんな「やりきれない想い」があるから、それが人々を競馬に向かわせるのかもしれない。
 

(新倉 弘人)