競馬徒然草(160)
―雨の日の快挙―
ダービーは正式には「日本ダービー」という名称で、今年は第76回だという。そんな古い歴史について知らないファンも、ダービーというとお祭り気分になるのだから、ダービーというのはやはり特別のレースのようだ。そのダービーが、今年は雨に祟られた。「祟られた」というのが言い過ぎとしても、雨が「水を差した」とはいえそうだ。どしゃ降りの雨で馬場は「泥田のよう」になったのだから、重馬場嫌いのアンライバルド(1番人気)は惨敗(12着)。勝ったロジユニヴァース(2番人気)のタイム2分33秒7は、去年の優勝馬(ディープスカイ)のタイムより7秒も遅い。いかに馬場が悪かったかが分かるというものだ。
それはともかく、勝ったロジユニヴァースは、前走の皐月賞(12着)の惨敗が信じられないほどの好走だから、ファンの反応もさまざまだったようだ。惜しかったのは、2着に頑張ったリーチザクラウン。逃げるだけのスピードはあるし、長い距離のスタミナもあるので期待できた。優勝こそ逃したが、2着の健闘は光る。この馬にとっては、もっとタイムのかかる悪い馬場になってくれていたほうが、よかったように思われる。
雨と直接の関係はないが、優勝を飾った横山騎手は、ダービー挑戦15回目での快挙。しかも西高東低の傾向が続く中での久しぶりの関東馬の勝利。そんな記録も添えたダービーであった。
(新倉 弘人) |