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絵空事か? 核軍縮・・・・
牧念人 悠々
連休中のある日、夢を見た。三途の川の向こう岸に住むさる人から「午後のコーヒーを飲みに来ないか」と招待を受けた。特製のケーキもつくるというので川岸まで辿りついたところで、はたっと思い出した。友人の野村和夫君が大病して生死をさ迷った際、三途の川の向こう岸にあるグリーンで楽しげにゴルフをしている男が手招きしているので行きかけたが、行ったら帰ってこられないのではないかと、思いとどまったという夢である。
さる男はウソつきで有名である。これまで核開発を全廃すといいながら仲間と話し合いをしながら次々に約束を破ってきてその都度、何がしの果実をものにしてきた。
「テロリストの核爆弾がニューヨークや東京に炸裂すれば、前代未聞の悲劇となり、世界の政治経済も大打撃を受けるだろう」(スタインバーグ米国務副長官のカーネギー国際平和財団国際会議の基調演説・毎日新聞)この恐れは次第に現実化しつつある。
もともとその男は核を放棄する意思はない。核を材料に援助物資を得たいだけである。米国がテロ支援国家指定を解除してもなんら進展はなかった。今後もこのまま推移するであろう。唯一の頼みが中国なのだが、この方は核兵器の近代化を進めており核軍縮には無関心である。まことに困ったことである。中国がその男の台所を助けなければすぐにも干ぼしになる。イデオロギーの大義というやつで援助を打ち切るわけにもゆかないらしい。
それにしても米国はもっと日本の意見を聞かねばならない。「米国が日本との協議なしに核への依存を減らそうとするならば日本人は米国の拡大防止を信用しなくなる」(佐藤行雄元国連大使の発言・毎日新聞)。佐藤さんの言う通りである。そろそろ日本も核についての独自の見解を出すべき時に来たようだ。「核抑止は国家主権」とフランスが言うのなら日本も日本なりの対応を考える必要がある。例えばアメリカの核の発射ボタンを共有する「ニュークリア・システム」という方法がある。これはドイツ、オランダ、イタリア、ベルギー、トルコの五ヶ国がNATOの枠組みの中でアメリカの核兵器を使って日常的に訓練をしている。核シェアリングをしているこれらの国が核による恫喝を受けた時にはアメリカはこれらの国に決められた核兵器を引き渡すシステムだ(雑誌「WILL」6月号・田母神俊雄前空幕長の論文)。いくつかの選択肢があるはずである。
世界にはいつ平和が来るのであろうか。日本は現憲法のもとではあくまでも専守防衛である。相手が手出しするまで攻撃できない。その男はそのことをちゃんと知っている。
その男が私を招いた理由は何だったのか、「特製のケーキをつくる」といっていたがその男はあまりウソばかり言うので閻魔さんから舌を切られたと風の噂で聞いた。味がわからないではないか。踏みとどまってよかった。その男は昨今「仕事が多く疲れ気味だ」と新聞(5月6日スポニチ)に出ていたので私の卓見を聞きたかったのかなとも思う。
国境を知らぬ草の実こぼれ合い(井上信子)
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