1998年(平成10年)8月20日(旬刊)

No.49

銀座一丁目新聞

 

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茶説

神さまの銀行に預金がいっぱいある

牧念人 悠々

 私たちは神さまからたくさんな財産をいただいて、神さまの銀行に預金しているそうである。この預金を払い出すのには、勉強しなくてはならないという。

 払い出しが難しくても銀行にたくさんなお金があるのは嬉しい限りである。要はいかにして神さまの銀行からお金を引き出すかである。勉強といってもいろいろある。工夫しろというのであろう。汗水もたらせというのであろう。それでもたりないかもしれない。

 あれこれ考えているとき、朝日新聞の日曜日版に掲載された「100人の20世紀」に紹介されたレイ・クロックの記事(平成10719日付)が目にとまった。

 レイ・クロックは創業者から権利を買い、「マクドナルド」を世界に広めた人物である。レイ・クロックとマクドナルドとの出会いは1954年のこと。ロサンゼルスに近い住宅地のドライブイン「マクドナルド」の店に入ったクロックは興奮する。

 「これはいける。全米にはやらせることだって夢じゃない」

 このヒラメキはすばらしい。彼は優秀な紙コップセールスマンだった。アイスクリーム売り場を回り、紙コップを持ち帰り用として売り込み、大当たりする。また、ミルクセーキ用のミキサーができたのに目をつけ、「ミキサーを売れば紙コップも売れる」と会社に提案する。拒否されると、独立して自分で事業をはじめ、成功する。この体験と商才があるからこそヒラメキも生まれてくる。

 行動が早い。店で食事した翌日、マクドナルド兄弟と会い、チェーン店を募る代理店となる。加盟権販売会社「マクドナルド・システム」をつくり、1960年には加盟店は200店をこえる。

 さらに、1961年には苦労して資金を集め270万ドル即金で営業権を買うに至る。

 クロックについて、朝日の記事は書く「目の前の270万ドルで満足する人間と10年先の数億ドルを想像できる人間の違いだった」

 マクドナルドの97年度の総売上げは336億ドルである。ヒラメキのほか、大きな夢、行動力、先見性などが神さまの銀行から預金を引き出すために必要のようだ。

 凡人には矢張り、無理か? そう簡単にあきらめるのは早すぎる?

 レイ・クロックとて人間。同じ人間ならばできないことはあるまい。あれこれ考えながら、神さまの銀行に預金がたくさんあることに喜んでいる自分を発見する。

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