2008年(平成20年)6月20日号

No.399

銀座一丁目新聞

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山と私

(44)
国分 リン

−登山家・尾形好雄氏リハビリの山「大渚山」笑顔と温泉の出迎え

 「登山靴がこんなに嬉しいとは。」大きな明るい声の挨拶に、スポニチ登山学校の生徒達から大きな拍手が起きた。脊椎の手術から3ヶ月後の山復帰、「皆さんの荷物はまだ担げませんが、山リハビリです。」この元気を私たちもいただく。小谷温泉の村営雨飾荘に12時到着、そこから登山口のある湯峠までは雪が残っているが、バスが行ける所までと残雪の鎌池と水芭蕉を車窓からみながら湯峠へ。車が数台駐車してあった。ブナの林の芽吹きと、ふきのとうも大きな花をあちこちに咲かせていても誰も摘まない山奥を感じた。残雪の階段を登ると歩きやすい道になり、ふと赤い花が目に入った。雪椿が数輪咲いている。またタムシバ、オオカメノキの白い花がお揃いで30分程の間に5箇所で出迎え。道の両側はブナの原生林の芽吹き、ツバメオモトが白い花をつけてあちこちに咲き、色の濃いピンクの花のオオイワカガミや、ショウジョウバカマも
花盛り、珍しいツクバネソウの群落と思いもかけない花の出迎えに嬉しかった。雪が道を隠し、一歩一歩ステップを切り直登するとベンチがあり小休止、明日予定の雨飾山の姿がはっきり目に飛び込んできた。大渚山の東峰はそこから10分後、360度大展望、岩崎先生に白馬岳や後立山連峰の高い白い峰と高妻山、戸隠山など教えていただく。雪の中に西峰の展望台が見え、雪の上を楽しんで歩くと直ぐ展望台のある西峰に14時20分到着。ここに大渚山1566mの大きな看板があり記念撮影。360度の大パノラマと期待したが、雨が落ちてきた。急いで雨具を着け下る。仁王立ちの尾形先生が雪の斜面で皆の安全を見守る。とても安心して下れる。存在感は凄いものがある。雪に慣れないMさんが滑った。その前を歩いていたOさんを巻き込んで転んだが、谷側でなく山側へ、すぐ立ち上がり安心した。事故は紙一重で起きるのを実感する。40分ほどでバスが待つ湯峠へ下った。すっかり雨が本降りである。小谷温泉の村営雨飾荘へ戻った。 宿から5分ほどのブナ林の中に男女別の露天風呂があり早速浸かりに行く。源泉が近くにあり、広く熱く湯量が豊富で勿体無いほどのお湯のかけ流しである。温泉はなにも言うことなしの満足である。雨飾山の期待を胸に寝る。
 激しい雨音で夜中目が覚める。4時に起き5時の出発に備えて準備をしていると尾形先生が「今日の雨飾山行は危険なので中止にします。」台風や吹雪でも中止にならないスポニチ登山学校と思っていた。気合がぬけ、早朝4時半友と傘を指して外の露天風呂へ、あまりの強い雨に中止の判断はさすがと思う。
 今日は休養日と切り替え、大町の「山岳博物館」で机上講座を受ける。サガルマータ南西壁登頂のコースの先生自ら撮影された大きな写真と、先生自らの熱い解説を受け、満足した。尾形先生が「雨飾山は秋にまた挑戦します。」この約束を期待して今回の山は終わった。

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