靖国神社で頂いた7月の昭和天皇の御製は「国のため たふれし人の 魂をしも つねなぐさめよ あかるく生きて」であった。御製に添えて22歳でマリアナ諸島で戦死した陸軍上等兵、土屋春雄さんの両親に宛てた遺書があった(7月18日)。気持ちが落ち込んだり考えに窮したりすると、靖国神社に参拝する。
参院選挙の投票日は7月29日。30日にはその結果が明らかになる。自民党・公明党に厳しい結果が出る。安倍晋三首相は潔くその進退を決すべきである。私自身は安倍晋三首相をそれなりに評価する。たとえば、新潟中越沖地震の7月16日朝、10時29分、安倍首相は長崎公会堂前の街頭演説を1分で切り上げて全日空機で長崎から東京に戻り、内閣危機管理センターで官邸対策室で打ち合わせの後自衛隊のヘリコプーターで柏崎市に飛ぶ。時に4時33分。安倍首相は長崎から6時間後には地震の被災地に立つ。「選挙より国民の災害復旧・安全」を優先した。これは誉められて良い。ここで大きな問題が起きた。この地震で火災など50件を越すトラブルが発生した東京電力柏崎刈羽原発である。柏崎市は消防法に基づく緊急使用停止命令を出したが、安全管理の対応の杜撰さ、無責任さだけでなく、地震を起こした断層が原発の直下まで延びている危険性。これは無視できない。しかも「燃料プールから水があふれることは、過去にも起きているが、海まで漏れ出したのは例がない。環境中へは漏れない仕組みのはずで大問題」という専門家の指摘は見逃せない(7月19日毎日新聞)。国際原子力機関も「全面調査の必要あり」として専門官を派遣するなど世界から注目されだした。いずれ活断層の上にある原発の存在が許されるのかどうかまで問題となろう。これは参院選挙後、大きな政治問題になる可能性がある。
たしかに安倍内閣は中国との戦略的互恵関係を結び、教育基本法の改正、国民投票法など実績を残す。だが、「年金問題」を筆頭に「政治とお金」とりわけ「松岡農相の自殺」後任の赤城徳彦農相の事務所費問題などいらざる「雑音」が次々に起こり、有権者の不信、不安の渦巻きが消えるどころか次第に大きく渦巻く始末であった。去就を決めかねていた無党派層を一気に野党に向ける結果となった。ここへきてはっきりと時代の底流にある「政権交代の二大政党時代」への指向があらわれたといえる。
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