2007年(平成19年)7月10日号

No.365

銀座一丁目新聞

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花ある風景(280)

並木 徹

”星に願いを”昔懐かしい映画の主題歌

 平均年齢71歳のバンド「KKRプラチナペンショナーズ」の演奏を聴く(7月4日・東京・大手町・KKRホテル東京)。テーマは七夕様にちなんで”星に願いを”。演目は「スクリーンミュージック」であった。出席者は180人を数え、デナーとジャズを楽しんだ。
 日頃ジャズと無縁だが、日中友好親善に力を入れている知人、田辺恵三さんの誘いで喜んで出席する。洋食、和食。中華のバイキング形式のデナーの美味しさはさておき、11人のバンドがすごい。バンドリーダーの小沼敏一さん(78歳・テナーサックス)は日産証券の会長。社会人になるまで数年間演奏活動を続け6年前にカンバックした。唐木洋介さん(65・テナーサックス)大学の吹奏楽部時代にクラリネットなどの楽器をマスターし「シャープ&フラッツ」で世界の一流アーティストと共演する。森川信幸さん(74・アルトサックス)米軍専属バンドなどで活躍「シャープ&フラッツ」に入団。その音色は絶品。八田隆二郎さん(74・アルトサックス)昭和20年代にバンドを結成、海外での演奏経験豊富なフルバンドプレイヤー。望月忠雄さん(62・テナーサックス)NHKに就職、趣味でクラシックのオーケストラや吹奏楽団、ジャズバンドに参加、職員によるジャズバンドを結成。定年後当バンドに参加する。
「エデンの東」「第三の男」など昔懐かしい映画の主題歌が次からから次へと会場に流れた。お客は自然に手や足で拍子をとったり、体を動かしたりする。もちろん体が微動だにしない男性客もいた。
横山均さん(54・トランペット)高校卒業と同時にオーディションを受けこの道に入る。「宮間利之とニューハード」のリードトランペッターとして活躍する。この日もその若さが光る。関根康守さん(77・トランペット)戦時中教練ラッパ手。戦後17歳から進駐軍関係のバンドで活躍、音楽店を経営、当バンドの生みの親。佐野博さん(71・トランペット)「小野満とスイング・ビバーズ」などで活躍、アドリブの得意なトランペットとフルーゲルフォーンプレイヤーである。
トランペットと言えば、スティーブ・マックィーン主演の「大脱走」(1963年制作)を思い出す。収容所を脱走した米兵が教会いたオーケストラの中に紛れ込み首実検を受ける。ドイツ軍将校に指名された脱走兵はトランペットで吹いたのが「星条旗よ永遠なれ」であった。その時、トラッペトを吹いてみたくなったのを覚えている。
谷山忠男さん(77・トロンボーン)米軍高級クラブの一流専属バンドで活躍、和製トミー・ドーシー(有名なバンドリーダー、シナトラなどが在籍した。トロンボーン奏者)の異名をとる。篠崎哲也さん(76・ピアノ)かって二葉あき子さんに「この人のピアノでなければ唄えない」と言わしめた、カーメン・キャバレロ(アメリカのピアニスト、ニューヨーク出身)。小沼洋伊智さん(76・ベース)学生時代から浜口庫之助氏に師事、卒業後はプロとして数々のバンドで活躍、フルバンドからコンポまであらゆるスタイルをこなすベーシストである。秋葉謙勇さん(69・ドラムス)日商印刷の代表取締役。20代のころ森田公一氏達と活躍、リズム感の良さは、プロのミュージシャンの間でも定評がある。ジュリー高岡さん(70・ボーカル)1946年北朝鮮から帰国後、のど自慢大会優勝をきっかけにプロの道へ。「奥田宗弘とブルースカイ・オーケストラ」の専属シンガーを経て米軍キャンプやナイトクラブなどで活躍。その声はいまなお若々しい。この夜、司会を務めたのは藤田正一郎さん(72)。演奏された27曲を軽妙洒脱に解説、会場を大いに笑わせた。
いずれにしても11人のサムライは一流のミュージシャン。それぞれに栄光のドラマを秘めながら、おごることなくこの夜、楽しく、精一杯演奏した。

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