2007年(平成19年)6月1号

No.361

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(114)

―牝馬がダービー優勝― 

 「GTがこれほど波乱続きの年は、珍しいね」「荒れるとは思っていたが、波乱の連続だからね」。ダービーについての、競馬ファンの率直な感想だ。そのダービーは、1番人気フサイチホウオー(7着)、2番人気ヴィクトリー(9着)が惨敗。勝ったのは3番人気のウオッカだったが、2着には逃げた14番人気のアサクサキングスが逃げ残った。3着は4番人気のアドマイヤオーラだが、2番手を追走した9番人気サンツェッペリンがクビ差の4着。これがもし3着に頑張っていたら、配当はさらに大きいものになるところだった。それでも馬連は万馬券。3連単は200万円を超える高配当となった。
 その高配当よりも衝撃的だったのは、勝ったウオッカが牝馬だったからだ。牡馬に混じって唯一の牝馬の挑戦として注目されていた。だが、牡馬相手では分が悪いと見る向きが多かった。それが鮮やかに勝利をものにした。中団に我慢していて、直線で追い出し、鋭い脚で突き抜けた。2着アサクサキングスに3馬身差をつける圧勝。文句のない勝利だった。牝馬のダービー優賞は、1937(昭和13)のヒサトモ、1943年(昭和18)のクリフジ以来、牝馬として史上3頭目の快挙だ。
 今回優勝のウオッカについてだが、谷水雄三オーナーの指示ですでに2歳時に、牝馬としてはただ1頭、ダービーの予備登録をしていたという。馬を見る眼の確かさに驚かされる。「先見の明」というべきか。馬は人によって見出され、その人の期待に応えて走る。そこに名馬といわれる馬のありようを見る思いがする。

( 新倉 弘人)

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