2007年(平成19年)4月20号

No.357

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(110)

―女神のいたずら― 

  競馬の女神はいたずら好きだ。お気に召さないと、ヘソを曲げる。今回の皐月賞は、その1例だ。そう解釈するしかなさそうだ。ともかく、とんでもないことをしてくれた。ともかく1、2番人気が揃って敗れ、人気薄2頭の逃げ残りという大波乱を演出して見せたのだ。1頭だけの逃げ粘りのケースならたまにはあるが、2頭となると滅多にない。お蔭で馬連、馬単、3連複、3連単の配当が万馬券、しかも皐月賞史上最高の大波乱となった。
 波乱の立役者となったのは、8枠17番ヴィクトリー(7番人気)と5枠9番サンツェッペリン(15番人気)。この両馬が他を離して逃げ、いわゆる「行った、行った」のレースになったのだが、後続馬はなぜ早めに差を詰めることをしなかったのだろうか。「直線でバテる」と甘く見ていたようだ。直線で鋭く追い込んだフサイチホウオー(2番人気、安藤勝己騎手)、アドマイヤオーラ(1番人気、武豊騎手)が、3、4着。それぞれに言い訳もあるだろうが、レースの流れを如何に読んでいたのだろうか、疑問が残る。
 しかも皐月賞という大レースでのことだから、スッキリしないものが残る。いずれにしても、逃げた人気薄2頭の頑張りだけが目立った。田中勝騎手と松岡騎手の腕を賞讃するほかないのかもしれない。ただ、大方のファンは、人気馬に騎乗した両ヴェテラン騎手の不甲斐なさに落胆しただろう。
いずれにしても、ほくそ笑んでいるのは、いたずら好きの女神だけかも知れない。

( 新倉 弘人)

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