2007年(平成19年)3月20号

No.354

銀座一丁目新聞

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花ある風景(269)

並木 徹

ミュージカル体験塾のアメノヒボコ物語

  劇団「ふるさときゃらばん」と文化放送主催の「第8回ミュージカル体験塾定期公演」を見る(3月11日・文京シビック大ホール)。多数の留年組もいるというので今年から「卒業公演」の看板を外した。それだけ場数を踏み、舞台度胸がある者が多いと言うことである。第1期生のマンガ家、ビッグ錠さんは農夫・巫女の夫・その他で出演、「桃栗3年、ミュージカル8年いよいよ実がなる」といっているように今年の出来映えは上々であったと、私は思ったのだが・・・昼の部が終わったとき、塾長の天城美枝さんは少しばかり浮かない顔をしていた。セリフの間が悪かったのかな、ダンスが終わった後の所作がだらしくみえたのかな・・・。満員のお客は満足して喜んでくれたのだからいいではないか。
 演目は面白但馬風土記「アメノヒボコ物語」日本書紀にも古事記のも出てくる「渡来の神様」である。兵庫県・豊岡市・出石神社に祭られている。元新羅の国の王子であった。昼寝している女性が太陽の光を受けて赤い玉を生んだ。それをだまし取った夫婦者からアメノヒボコ(本城敬志さん)が巻き上げ床の間に置いておくと、玉は美しい娘アカルヒメ(橋詰尚子さん・留年組)となる。二人は結ばれるのだが、アメノヒボコが「ご飯」「ふろ」といばり散らし次第に妻への愛情が薄らいでゆくので、怒ったアカルヒメが日本の難波へ帰ってしまう。
 船団を組んで妻を日本まで追いかけてきたアメノヒボコであるが、妻に追い返されてやっと但馬の国に住みつく。ここで円山川の河口の岩戸を切り開き泥水を日本海に流し、肥沃な田畑を作る。さらに製鉄技術を伝える。「たたら踊り」がいい。見ていた楽しい。タタラ女・ヨネ(米山やよい)「からだを動かすのはとても楽しいです」。タタラ女(渡辺由起)「歌って踊って演技して今が人生で一番楽しい」。タタラ女・リツ(前田律子)「初挑戦!とにかくがんばります」。タタラ女・ナガ(永野清美)「愉快な仲間に出会えてことが何よりです」。日本と韓国の交流は古代から続く。韓国にちなんだ地名は日本全国にある。豊かな国作りには近隣諸国との友好が第一ということをはからずもこのミュージカルが示す。巫女を演じたベテラン巴信子さんは言う。「理想を失った時に人は老いるという。希望を!」ともかくミュージカル体験塾よ。頑張れ。

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