2006年(平成18年)12月1日号

No.343

銀座一丁目新聞

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茶説

ケイタイ小説花盛り

牧念人 悠々

 YOSHIさんが書いたケイタイ小説「DEEP LOVE −アユの物語−」が連載中、女子高校生に感動を呼び、100万人が読んでいる。「ケイタイ文化革命進行中」(2003年2月1日号「茶説」)と報じてから3年余。その間、CHACOの「天くれ」 (天使がくれたもの)や美嘉の「恋空」(上・下)などのケイタイ小説が後に続いた。その読者は2000万人に及ぶという。そのスピードは早い。
 このたび、毎日新聞、スターツ出版、魔法の@らんどが主催して「日本ケイタイ小説大賞」を制定、ケイタイ小説の豊かな才能のある作家を発掘することになった。新聞社としては目の付け所がよい。センス抜群である。短編でもケイタイ小説の新聞連載を考えればなお良い。
 第1回大賞(賞金100万円)には大阪府の十和さん(26)の恋愛小説「クリアネス」に贈られた(11月28日・東京・毎日ホール)。応募作品は2375点を数えた。優秀作品に選ばれた「この涙が枯れるまで 」の作者は高校2年生、17歳のゆきさんであった。大賞の受賞の十和(とわ)さんは26歳の会社員、怠け者で、群れることが嫌いだという。好きなものは、動物、酒、旅、格闘技。小説の「あらすじ」は性を売り物にする女子大生、さくらと出張ホスト、美少年レオのピュアな恋物語。会話で構成され風景描写はほとんどないという。会話だけで人を引きつけようと思ったら中身を「実」のあるものにしなければならない。会話がくだらなければ読者は読みもしない。筆力のある人しか書けない。社 会部記者時代事件報道を会話体でやろうと考えたことがあったが、果たさなかった。
 ケイタイは若者の必需品。メール、写真、音楽に、それに小説が加わった。若者はそれに感動する。ケイタイ小説は文学ではないと息巻いても1000万単位の読者がいるのは「新聞小説」より読まれているということではないか。この現実は無視できない。そこへ楔を打ち込むことによって新たな展開が生まれてくる。「日本ケイタイ小説大賞」の今後が楽しみだ。

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