2006年(平成18年)12月1日号

No.343

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(97)

―調教師のお粗末― 

 凱旋門賞後に禁止薬物が検出されたディープインパクト(栗東・池江泰郎厩舎)の処分が11月16日、フランスの競馬統括機関フランスギャロとJRAから発表された。凱旋門賞3着は取り消されて失格(賞金約3400万円は支払い停止)。池江泰郎調教師には制裁金としては最高額である1万5000ユーロ(約225万円)が科せられた。こういった処分の内容は予想され、これまでに報道さていたこととであり、処分内容には格別新しいことはなかった。
 しかし、今回の事件に関して、新たに判明したことがある。それとともに、いくつかの疑問や問題点も浮かび上がった。そのいくつかを挙げて見る。馬に薬物を使ったのは馬がセキをしたからだというが、ディープインパクトはこれまでにもセキをすることがあったのだろうか。あるとすれば、その場合、どのように処置してきたのだろうか。日本から獣医師が帯同しており、同馬については詳しいはずだが、どのように診てきたのだろうか。
 結果として、イプラトロピウムを買って使ったのだが、そこで問題が起きている。馬が暴れて薬が干し草などに飛散し、その干し草などを馬が食べたらしい。獣医師がいての不手際は、どうしたことか。また、薬物が飛散した干し草などをそのまま放置していたのはなぜだろうか。適切な処置を欠いただけでなく、そうしたことを調教師は知らずにいたという。そのとき調教師はどこで何をしていたのだろうか。大事なレースを控えていた調教師として、治療の場にいるべきではなかったか。しかも、立ち会わなかった調教師に対して、獣医師や厩務員が何の報告もしななかったというから驚く。厩舎とはそんないい加減なものなのだろうか。さらにいえば、イプラトロピウムが禁止薬物であることを、調教師は知らなかったという。
 いずれにしても、国際的な恥をかいたわけで、日本の競馬界そのものの信用を落としたことになるのではないか。
 歴史に残る汚点は消えないだろう。

( 新倉 弘人)

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