2006年(平成18年)10月10日号

No.338

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競馬徒然草(93)

―ディープインパクトの敗因― 

 凱旋門賞におけるディープインパクトの敗因については,あまり書かれていないようだ。3着に敗れたことを「残念」だというものが殆どで、敗因について触れたものが見られない。これはどうしたことだろうか。ファンの期待が大きかっただけに、「残念」というのは理解できる。しかし、敗因については触れられていない。「残念」という心情的なものが強すぎるため、敗因まで考える気にならないのだろうか。それとも、他に理由があるのだろうか。関係者に対する遠慮のようなものでもあるのだろうか。
 負けても仮に2着であった場合なら、感想もまた違ったものになっているだろう。しかし、実際には3着だった。勝つのは難しいと予想した人もいるが、3着に落ちるとは予想しなかったのではあるまいか。「仮に負けても2着はあるだろう」と。だが、結果は3着だった。直線での競り合いを見ていると、先頭に立った場面もあるのだから、一瞬「勝てる」と感じたファンもいるだろう。だが、それからが伸びず、競り合いに負けた。さらに後ろからきた馬にも差された。勝ったレイルリンク(牡3歳)の鋭い脚だけが際立った。ディープインパクトが後ろかきた馬に交わされるなど、これまでになかったことだ。
 このことを、どう見るべきだろうか。同じ3着でも、「追い込んだが届かない」のと、「後ろから差された」のとでは、事情が違う。同一に考えるわけにはいかない。たんに「世界の壁は厚かった」というだけでは、十分に納得できる正しい答えにはならないだろう。ディープインパクトが仮に本来の力を発揮できなかったとすれば、それはなぜだろうか。臨戦過程を含めて問題はなかっただろうか。ディープインパクトのためにも、また今後の日本馬の遠征のためにも、その解明は必要なことと思われるが、どんなものだろうか。

( 新倉 弘人)

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