2006年(平成18年)4月20日号

No.321

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茶説

教育基本法改正案の眼目は愛国心

牧念人 悠々

 愛国心とは国を愛することである。これ以外説明のしようがない。あえていえば「朝日に匂う桜花」といおう。大和心を持った日本人が愛国心を持つといいたい。今国会にかけられるかどうかよくわからいないが、教育基本法改正案の最大の焦点であった「愛国心」について与野党の合意が出来た。その内容は「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」というものである。なぜすっきり「愛国心」という表現が使えないのか疑問に思う。「国の根本法規である教育基本法は、もっと素直な表現であってほしい」と産経新聞社説(4月14日)が望むのは無理もない。朝日新聞は社説で「戦前の『忠君愛国』のスローガンは、自分の国だけを思うゆがんだ愛国心となり、アジアへの侵略をあおった」(4月14日)。先進諸国はどうであったか。植民地政策を推し進め、かなりあくどいことを行っている。それでも「愛国心」を問題にしないし、疑問も持たない。。日本は潔癖なほど「愛国心」を問題にする。世界から見て面白い存在である。
 『国家の品格』の著者、藤原正彦さんは手垢に汚れているとして「愛国心」という言葉を使わず「祖国愛」を使う。これも一つの見識だが、言葉としての意味は同じだと思う。藤原さんはいう。『「祖国愛」に対して不信の目を向ける人が多いかも知れないが「戦争を引き起こす原因になりうる」などと、とんでもない意見を言う人が日本の過半数である。全く逆です。祖国愛のない者が戦争を起こすのです』。これは自国の国益のみを追求するナショナリズムが強調され、戦争と結びつくからである。自国の文化、伝統、情緒、自然をこよなく愛する国民は、この美しい情緒を持つ他の国民と戦争を避ける努力するのだ。
 毎日新聞の社説はいう。「いじめ、不登校、学力低下、ニートの問題など、教育現場に対する危機感が改正論議を後押ししたが、愛国心を含めた精神論だけでこうした問題の『特効薬』になるとはとても思えない」(4月14日)。心は動きに表現される。心の動きは表情に、言葉、態度、書、絵、彫刻などすべてに現れる。極度に精神論を振り回すつもりはないが、心の動きはきわめて大切である。愛国心の欠如が教育現場の不祥事、事件を噴出しているといっていい。
 東京新聞の社説は主張する。「教育は百年の大計。拙速は避けたい」戦後60年、教育の現場は荒廃している。国家百年の大計だからこそ早く手をつけねばならい問題と考える。小泉首相も余り悠長に構えず、教育基本法改正案と取り組んでほしいものだ。

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