2006年(平成18年)1月10日号

No.311

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オカリナ職人 藤田 東悟

−オカリナの生い立ち−

 

  今現在私たちが使用しているオカリナの原型は1853年頃、北イタリア ブートリオ地方の菓子職人ドナーチさんが考案したものだそうです。粘土のテラコッタでいままであった玩具的な鳥形をした土笛に指孔を増やし、1オクターブの音域の出る楽器を作り上げ、オカリナを楽器として認識させたそうです。形がガチョウに似ているところから「鵞鳥の子」、イタリア語で「オカリナ」と名付けられたと言われております(アヒルの子供でもよかったと思いますが?)。現在でもドナーチさんの居たブートリオ地方ではオカリナ造りが続けられているとのこと。ただ土笛の歴史は古く、それ以前にも土笛として原始メソポタミアの遺跡からつぼ型をした指孔の付いた焼き物が出土し、南米では4孔式の焼き物が(1000年以上の前から)、中国では「ケン」と呼ばれている吹き口の無い(ビンの口様)つぼ型の焼き物があり、殷代(紀元前3000年)には6孔のものがあり、完全な7音階が演奏可能となり、漢代には7孔の物があったと言われており、現在4種類の調、9孔のケンがあり、その深みのある素朴な音は多くの人々から愛されているとのこと(中国楽器大全より)。日本では1940年代明田川孝氏が12孔式のオカリナを考案し、オカリナで出る音域を広げた結果、演奏できる曲が多くなり多くの人がオカリナを認識しました。その時に明田川氏は特許を取りましたのでオカリナと言えばアケタでした。今現在は特許も切れ誰でも12孔式オカリナを造ることが出来るようになり、多くの人達がオカリナ造りを志、より良いオカリナを求めて日々努力をしております(私もその一人です)。ただ忘れてはいけないのは今のオカリナブームの功労者はなんと言っても宗次郎さんとスッタフの皆さんです。大黄河で流れたオカリナの響に引かれたのは私だけではなく日本中の多くの方がオカリナの虜になったと思います。

 蛇足ですがイタリア語ではオカリナではなくオカリーナと発音するそうです。また粘土のテラッコタとは近頃イタリア製の赤地色の素焼きの鉢が多く園芸店などに売られていますがあの鉢がテラッコタで出来ており、イタリア製のオカリーナも輸入されておりますが同じ色をしております。

 藤田氏のオカリナ紹介サイト(販売もあります):
   http://www18.ocn.ne.jp/~tougo/

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