2005年(平成17年)10月1日号

No.301

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茶説

国連にもっと関心を

牧念人 悠々

 人間は自分の理解していることに反対なことを言われ、しかも知らないことを指摘されると怒る動物のようである。東京都議会で「国連」を巡ってこんな論戦があった。毎日新聞によると、都議会本会議(9月27日)で「国連憲章なんてまともに信じてるバカはいませんよ」と石原慎太郎知事が答弁した問題で共産党は一般質問で「国連は第二次大戦の痛切な反省にたって設立されたもの。知事の発言は多くの犠牲者を出した首都東京の代表として許されるものではない」と抗議し発言の撤回を求めた(9月28日)という。共産党の言う通りである。「国際の平和と安全を維持、実現するため」に1945年、国際連合が作られた。だが、理想はあくまで理想である。20世紀に言語に絶する悲哀を人類に与えた2度に亘る戦争の惨禍を忘れて、戦後、地域戦争、宗教戦争が後を絶たない。今はテロ対主権国家の戦いにもなっている。表現は乱暴だが石原知事の言うことにも一理ある。
 石原知事は反論する。「国連憲章に何がうたわれていようとですよ。内部が腐敗しきった国連の実態。戦後60年たってなお旧敵国条項成るものがまかり通っているいびつな仕組み、運営とその実態。そろそろ国連信仰はお捨てになったらいいんじゃないでしょうか」
 少し説明を要する。一般的には国連の内部のことはよく知られていない。私の聞くところでは一部の企業と同じく「空出張」が横行しているらしい。これを拒否するといじめに会うという。これは腐敗の一端に過ぎないであろう。石原知事は国連の内部についてかなり知っているようである。「敵国条項」は国連憲章53条と107条に規定されている。第二次大戦で連合国の敵国であった国(日本、ドイツ等6ヶ国)が国連憲章に違反した行動を行った場合、連合国の構成国は国連決議に拘束されずに無条件に軍事制裁を課することができるというものである。すでに日本もドイツも国連に加盟しているので、おかしな条文である。ドイツはすでに死文化しているから「寝た子を起こす愚」を犯す必要はないと問題視しない。これも一つの採るべき態度である。万事に几帳面な日本人には気になる条文である。あながち「いびつな仕組み」というのも不当とは言えない。おかしいと言えば日本の国連分担金の多さである。アメリカについで第二位の拠出金は異常である。人が良すぎる。安全保障理事会の常任理事国入りを拒否されたいま、身の丈にあった額にすべきである。私は国連信仰を持たないが、あくまでも諦めずに育ててゆきたい。

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