2005年(平成17年)9月20日号

No.300

銀座一丁目新聞

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山と私

(21)
国分 リン

−花の山・佐渡ドンデン山−

 「ソッとして、誰にも教えたくない。」と山と渓谷社より「山の花」の筆者永田芳男氏に言わせた佐渡ドンデン山へ4月30日から5月1日にかけて出かけた。Fさんの願いだった場所へ、EWCの仲間8人、その中の4人は植物部員である。
  今年は残雪が多い所で2mもある情報に、天候と花の開花状況を心配しながら新潟港からジェットフォイルに乗る。幸いに天候は晴れで、佐渡に近づくつれ、真っ白に輝く山並みに驚く。1時間程で、両津港到着。
 アオネバ登山口へタクシーで25分ほど、途中やっと桜が咲き緑も早春の萌えの色たちである。登山道へ足を踏み入れた途端、キクザキイチゲの白・紫花、薄紅のオオミスミソウに皆満足し、ゆっくり花を愛でながら歩く。ウスバサイシンの奇妙な花に見とれ、足元近くにピンクの大きな花びらのシラネアオイに歓声を挙げた。連休中なのにひっそりとして、ゆっくり観察できた。日当たりのよい斜面にカタクリの群落、葉は本土のとは異なり斑がなく、花は小さく可憐で咲き始めのようである。沢沿いの道を1時間かけてゆっくり登り、ブナ林の急斜面を30分程登るとついに雪が現われ、ザラメ状の雪の上を歩く。ぽっかりあいたブナの木と雪の間の穴に雪の精のような白い座禅草が、気高く瑞々しい姿に小躍りした。少しトレースから外れて奥のほうなのでひっそりと咲き終え、永久に残ることを願う。15時30分にアオネバ峠へ着き、直接今夜の宿ドンデン山荘へ、特徴のある8角形の屋根と清潔な木造の建物である。この山荘の談話室にはプラネタリュームの設備がある。展望台から日本海と両津港がよく見え、佐渡1の金北山が雪を抱いていた。この金北山へのルートは自衛隊のレーダー基地があり、通行許可をとらなくてはいけない。この山荘で取れることを知った。
 翌5月1日も晴れた。山荘後ろの放牧場を経て霧立山934.2mから尻立山940mを登り座禅草や水芭蕉が咲くドンデン池を巡る木道を歩いた。そこから縦走路へ入り北斜面に出ると残雪が多く、下り斜面を慎重に降りた。昨日のアオネバ峠へ出てから山道へ、雪がたくさんあり赤いテープを目安に進む。途中偶然踏み込んだ斜面にカタクリの群落の中に白花を見つけた。周りは足の置き場も無いほどのカタクリの花々に、謝りながら歩く。雪の斜面や夏道を繰り返し進み、10時にマトネ・傘峰の標識のある孫次郎山937.5mへ到着。360度展望の頂である。日本海や金北山への縦走路を心ゆくまで独占した。この先は雪が多く危険なので今回はここまでにして、
山荘へ12時に引き返した。今回の山で見た花の種類は、なんと驚くことに50種類もあった。
 
 靴の一歩が一株の植物を踏みつけてしまうだろう。でも佐渡は高山植物の宝庫であり、引き寄せられる魔力を持つ島であり、何度も
花を求め訪ねたい。この素晴らしい自然を永遠に守らなければいけないと思う決意を改めて深く心に刻んだ。

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