2004年(平成16年)12月10日号

No.272

銀座一丁目新聞

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茶説

迷夢昏々閉塞感を破る者は誰か


牧念人 悠々

 今年の流行語大賞はアテネ五輪の金メダリスト北島康介選手の「チョ―気持ちいい」であった。トップテンをみると「気合だ!」「サプライズ」「自己責任」「新規参入」「セカチュー」「中二階」「っていうじゃない・・・残念!!・・・○○斬り!」「負け犬」「冬ソナ」。
 明るいのはスポーツ界だけであろうか。北島選手は有言実行で百b平泳ぎで金メタルを獲得するのだからたいしたものである。アテネ五輪レスリングで銅メタルの浜口京子さんの言葉が泣かせた。「競技では銅であったが私がオリンピックで得たものは金であった」。目標に向ったひたすらに努力を重ねる者が栄冠を勝ち得る時代なのであろう。アメリカの大リーグで262本の最多年間安打数の新記録を打ち立てたイチロウーも見事であった。受け答えが謙虚であり、良く観察し勉強している記者にはそれなりに応えているのに感心する。
 政治に関連する流行語は三つある。「サプライズ」「中二階」「自己責任」政治と金の問題は橋本元首相の発言を聞いていても相変わらず不透明だし、無責任である。野党も無気力すぎる。イラクへの自衛隊の派遣延長にしても政府はも少し本音を言ったらどうか、そうすれば野党と白熱した論戦となり、自衛隊派遣の必要性が明らかにされると思う。
 経済界も暗い。UFJ元副頭取の検査妨害により逮捕された事件ほどいまの経済界を象徴するものはない。ひと昔ではおこりえなかった事件である。しかも発端は内部告発によるというのだから時代を感じる。「新規参入」は経済界だけでなく各界に改革が望まれているということであろう。
 「迷夢昏々、万民赤子何れの時か醒ぬべき」といったのは2・26事件の野中四郎大尉(陸士36期)である。「負けイヌ」でも「冬ソナ」でもいい。平和なしるしである。迷夢昏々の閉塞感を破るのは志を持ち目標に向って前進する若者達である。期待したい。

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