ツアーの参加を決めてからコンパクトで薄型のデジタルカメラを購入した。手持ちのものもデジタルではあるが、8年以上も前のもので分厚くて重く、そのうえ単3の電池を4本も入れなければならず、おまけにその蓋の留め金があまくなってガムテームで固定しなければ電池が外れてしまう。思わぬ出費ではあったが、旅の楽しみは何といっても写真であるし、今回のツアーはロケ地巡りであったから、撮り残しのないようにSDメモリカードも128MBのものを2枚用意し、現地でバッテリーも充電できるように全世界対応プラグも忘れずに持参した。
これですべて滞りなく、と思いきや初日の昼過ぎに早くもバッテリー交換のサインが出てしまった。フル充電した場合で約190画像撮れると聞いていたのに、どうしたことだろうと途方にくれた。友人もやはり壊れかかってはいたがカメラを持って行ったので午後は友人に任せ、専ら携帯電話のモバイルカメラを使ったが、こちらの方はまさかと思ってメモリカードは入れていない。
その日の行程を終えてホテルに戻るや、バッテリーを充電しながら念のためにと持って行った「カメラユーザーガイド」を繰って見た。最後の最後の方にやっと「バッテリーの性能」というのが見つかって、それによると「使用環境温度が下がると、バッテリーの性能が低下したり、バッテリーアイコンが早めに表示されることがあります。このような場合は、使用直前までポケットなどに入れて温めてから使用するとバッテリーの性能が回復することがあります」と書いてあった。
11月でも韓国は寒いと聞かされていたので、自分の寒さ対策はバッチリであったが、まさかバッテリーが寒さに弱いなんて思いもしなかったので、いつでもシャッターが切れるようにぶら下げて歩いていた。さぞかし寒い寒いと悲鳴を上げていたことだろう。次の日からは「カメラさまさま」であるから、自分でははめずに手袋を二重にしてカメラを入れ、体温計のように脇に挟んで温めながら撮影をした。それでも陽が落ちて急に気温が下がってくるとスイッチが入り難くなるので、食事の部屋がオンドルになっているのを幸いに床に直に置いて温めたりもした。
こうなると性能がいいのか悪いのか、インスタントカメラの方がずっと役に立ちそう。それでも、こうして騙しだまし5日間で197枚撮ってきたものをパソコンに取り込み、一枚一枚拡大して見るとなかなかよく取れている。全体をインデックスプリントし、その中からこれはと思うものを光沢紙にプリントして、友人や一緒に行ったお仲間と写真の交換会をした。
それらの写真と録画のビデオをまた見比べて、やっぱり此処は違うとか、ああ此処へ行ったとか、此処を撮り忘れたなどと再確認するのも、また楽しい。旅の余韻は容易には収まらない。
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