2004年(平成16年)9月20日号

No.264

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(27)

―裁定と異議― 

  4回中山が開催したばかりだが、初日と2日目に降着が2件あった。1つは、初日、9月11日の紫苑ステークス(秋華賞TR、芝1800)。1着で入ったヤマニンアラバスタ(江田照騎手、タイムは1分47秒0)は、最後の直線コースで外側に斜行して、後ろにいたヒカルウエイブ(木幡騎手、4着)の進路を妨害したため5着に降着。この結果、上位3頭の馬がそれぞれ着順が繰り上がり、2着入線のインゴットが1着となった。この制裁による処分として、江田照騎手は、9月18日から10月2日まで騎乗停止となった。
 そして2日目の第7レース(3歳500万上、ダ1800)。4着に入ったラスニアック(吉田豊騎手)が、ゴール手前で外側に斜行して7着入線のビービーカイト(村田騎手)の進路を妨害したため8着に降着。吉田豊騎手は、9月18日から10月2日まで騎乗停止となった。なお、この降着処分に対して、大久保洋調教師は不服申し立てをし、降着取り消しを求めた。2つの似たような降着処分だが、1つは制裁をそのまま受け入れ、もう1つは不服申し立てを行っている。これは興味深いところだ。もっとも、再審の申し立てをしたところで、多分棄却されるだろう。過去にも同様の申し立て事例はあるが、認められたことはない。事実、結果は申し立て棄却となった。
 それは、なぜなのだろうか。外部からは窺い知れないものがある。そもそも、進路妨害の判定基準が分かりにくい上、処分の程度を決める判断基準も、どうなっているのかわからない。というのも、降着にはならず、騎手の過怠金で済むケースもあるからだ。思い出すのは、先月(8月8日)の函館2歳S(函館、芝1200メートル)。勝ち馬アンブロワーズのホワイト騎手が、直線の叩き合いで、外(左側)から追い上げてくる2頭(ディープサマー、カシマフラワー)の進路を妨害した。しかも、追い上げる馬の騎手が声を上げて注意を喚起したのも無視して、アンフェアを続けた。
明らかな妨害行為だから、失格とまではいかなくとも、降着処分が考えられるところだ。だが、レースは審議にはなったものの、降着にはならなかった。結果は着順通りで、2着はディープサマー(藤田騎手)、3着はカシマフラワー(松永騎手)。この裁決に対して、「パトロールビデオを見れば分かる。被害は受けているんだ。フェアじゃない」と、敗れた藤田騎手は語っていた。だが、裁決担当は、「降着にあたる事例ではない」とした。しかし、この説明だけでは、納得できないものが残る。なぜ、「降着にあたらない」のか? 判断基準を含め、裁決のあり方が不透明なのである。ホワイト騎手は、過怠金10万円で済んだ。
 ところが、今回は2件とも降着で、騎手は2カ月の
騎乗停止処分。どこがどうなっているのか、納得できないファンも多いはずだ。またしても、裁決のあり方に問題を残した。

( 新倉 弘人)

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