2004年(平成16年)9月20日号

No.264

銀座一丁目新聞

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お耳を拝借(108)

「パーソナルデータ」

芹澤 かずこ

 長男のところの小学4年生になる下の孫がときどき手紙をくれる。幼稚園の時は手形だったり折り紙だったりしたが、学校に行くようになると宛名も自分で書くようになった。今年の夏休みに遊びに来た時も、可愛い封筒を手渡された。手紙のほかに閉じこみ用のプロフィールを書く用紙が入っていて記入してくださいとある。
 名前、住所、誕生日、星座、血液型、性格、趣味、特技、好きなタイプ、芸能人なら誰が好きか、カラオケでよく歌う曲、よく読む雑誌、よく見るテレビ番組、大切にしているもの、
将来の夢、10年後の自分、チャームポイント、もし生まれ変わるなら、一番欲しいもの、
一回だけ魔法が使えるとしたら、お休みの日にしていること、宝くじで一億円あたったら、
行って見たい国、あした地球がなくなるとしたら、好きな食べ物/飲み物/菓子/音楽/
キャラクター/ブランド/動物/スポーツ/本/色、自分のきらいなところ、時間の過ごし方、遊び方などなど。
 
 これはプロフィールというより個人の完璧なデータである。真面目に書き込もうとするとなかなかに難しい。けれど子供相手だからとふざけても書けず悩んでしまった。
10年後の自分? 本音を言えば、見えないし考えたくない。それでも建前としては、今とそんなに変わらないと思うなんて書いてしまう。
一回だけ魔法が使えるとしたら?  娘曰く、「私なら魔法の杖を望むわ、そうしたら何回でも使えるじゃないの」なるほど上手いことを言う。
宝くじで一億円あたったら?

 買うときはいつも当てるつもりが外れっ放しで諦めムードが強く、最近では買おうともしない。それでも一応、世界一周なんて。
大切にしているものは? プリモ君(プリモプエル)と、こればかりは本音を書き入れたら側で娘が「孫とぐらい書きなさいよ」と強要する。
あした地球がなくなるとしたら?  それでもりんごの木を植える、なんて言ったら気障かしら。



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