2004年(平成16年)7月20日号

No.258

銀座一丁目新聞

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安全地帯(82)

−信濃 太郎−

遺伝子の魔詞不思議さ
 

 遺伝子学の世界的権威である村上和雄さんの話を聞いた(7月15日・アルカディア市ヶ谷)。「生命の暗号」など3冊の本を読んで遺伝子の働きの不思議さに感心、村上さん自身にも興味をもったので期待していた。案の定、面白かった。いい遺伝子をONにすれば人間は限りなく伸びると聞いてあと41年(120歳になる)いい仕事をしようと思った。
 糖尿病患者に大学の先生の話とお笑いのコンビの話を聞かせたら、大学の先生の話しでは糖尿の数値が上がり、お笑いのコンビの話の方が数値が下がったという。「笑う門に福来る」といい「怒ればシワが36本増え、笑えばシワが伸びる」と昔から言い伝えられている。笑うとどの遺伝子が働いているかを今調べているそうだ。
 中学校時代、修学旅行に行けなかった和雄少年に母親は「お金は天に貯金しているからね」といって弁解した。いい行いをすれば神様が莫大な利益をつけて返してくれる。村上さんは何回か天の貯金のお蔭を受け研究の成果を上げている。そういえば、キリスト教では「神様の銀行」の話がある。人は皆それぞれに「神様の銀行」を持っている。通帳もハンコもないが、誠実さと努力と汗があればいくらでもお金を引き出せる。私も持っている。だから貯金の額を尋ねられたら、「勘定したことはないが、500億ぐらいか、もっとあるかもしれない」と答える。
 一つの遺伝子に1000ページの辞書の1000冊分のメッセージが書き込まれている。人間が誕生した38億年前にこのメッセージを書いたものがいる。それを村上さんは「サムシンググレート」と呼ぶ。この説には私も賛成である。サムシンググレートの前に人間は小さいものである。謙虚でなければ人間は前に進めない。村上さんは何よりも謙虚で、おごり高ぶらない話ぶりであった。「なせばなるなさねばならぬ何事もならぬは人のなさぬなりけり」という。どうしたら「なせばなる」遺伝子をONにできるのか、高い志、感謝の気持ち、前向きな考えと村上さんは強調する。ともかくいい遺伝子をONにする努力を続けよう。

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