2004年(平成16年)7月20日号

No.258

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(21)

―1頭の馬が4億9000万円― 

  1頭の馬が4億9000万円。この話題でもちきりの今日この頃だ。7月12日、北海道苫小牧のノーザンホースパークで行なわれたサラブレッド当歳せり市「2004セレクトセール」。1頭の馬がなんと4億9000万円で落札されたというのだ。8000万円からスタートしたせり値は、遂に4億9000万円まで上がった。それを落札したのが関口房朗氏。史上最高額馬の誕生だという。しかも、今年生まれたばかりの牡の当歳馬。レースに出るのは2年後。早い話が、走ってみなければ、海のものとも山のものとも分からないわけで、驚くやら呆れるやら、というところだ。
 もっとも、この「エアグルーヴの2004」が高く評価されるのは、父ダンスインザダークと母エアグルーヴの間に生まれた良血馬という点にある。ダンスインザダークは、一昨年急死した大種牡馬サンデーサイレンスの後継種牡馬と期待されている。それと女傑エアグルーヴとの配合だから、血統的に注目されるのも頷ける。それにしても、4億9000万もの値がつくほどの馬なのか。首を傾げるファンも多いことだろう。だが、落札した関口房朗氏は、「一つの夢だったサンデーサイレンスがいなくなった。スターホースが出ないと競馬がすたれてしまうし、フアンのために夢を与えたかった」と語っている。
 この言葉の受け取り方は、人さまざまだろう。ただ言えることは、一昨年急死した大種牡馬サンデーサイレンスの後継種牡馬として、ダンスインザダーク産駒への期待が高いということだ。今回の史上最高額の落札は、ポスト・サンデーサイレンスとして、ダンスインザダークが認知されたことの証明ともいえそうだ。ついでにダンスインザダーク産駒のせりについて補足すれば、「サトルチェンジの2004」が2億(ビッグレッドファーム)。「スターバレリーナの2004」が1億7100万(島川隆哉氏)。これほど高い評価を受けているダンスインザダークだけに、その産駒たちの活躍は大いに注目されるところだ。
  なお、「エアグルーヴの2004」の落札価格は国内の最高額だが、世界にはもっと上がある。85年に米国キーンランド1歳セールで落札されたシアトルダンサーは、15億8000万円。97年の英国タタソールセールで落札されたジェネラスの弟は、5億7750万円だったから、今回の場合は世界3位の高額となる。日本馬も、値段だけは高くなった。

( 新倉 弘人)

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