娘たちとの例年の春休みの旅行に、今年はバナナの木を求めて熱川のバナナワニ園に行ってきた。昨年の12月10号でも書いたように、バナナがどんな風になっているのか実地検分というわけである。
入園の時に手渡されたパンフレットの写真を見ても、娘は「これ逆さまじゃないの?」と俄かには信じられない様子。ところが、いよいよバナナ温室に入ってのご対面では、
「あら厭だ、本当だわ!へぇ、こんな風になっているんだ」と、幾重にも重なって上向きになっているバナナの木を見上げては感心することしきり。これで目的の一つを達成。
あとは7歳の孫が大好きなワニ。上野の動物園では2頭ぐらいしか見られなかったとか。ここはさすがに世界一の種類数を誇るワニ園と謳っているだけあって、孫が歓声を上げるほどたくさんいる。口の先がとがっていて、牙のように歯が外に出ている如何にも凶暴そうな顔つきのクロコダイル。頭と口先が丸みを帯びていて、歯が口の中に納まっているアリゲーター。細長い嘴で全体的に細っそりしているガビアル。
同じ種類でも、出生地が異なると顔つきも甲羅の模様も違っている。水の底でじっと動かないのもいるし、水面にぷわっと浮いているのもいるけれど、殆どのワニは丘にあがって惰眠をむさぼっているというか、午睡に余念がない。頭を高くした方が寝易いのか、丘の斜面では頭を上にしている。平らな地面に寝ているワニは、必ず仲間のワニの肩や胴や尻尾に頭を乗せ、卍のごとく折り重なるようにして寝ているし、仲間のいないワニは、木の根っこやコンクリートの少しでも段差のあるところにあごを乗せていたりする。
中には、まるで歯医者にでも見せるように、大きな口を開けっぱなしのワニもいる。口の中は黄色くて舌がない。歯は人間のように隙間なく揃ってはいなくて、上下が交互にかみ合っていて、これは他の動物のように獲物を噛み砕くためではなく、逃げないように押さえるためで、自然界では水辺に水を飲みにくる鹿などの、足をくわえて水中に引っ張りこむらしい。古い歯は常に抜けて新しくなり、いつでも攻撃に備えているのだとか。
ワニ園の放流池の囲いの外から眺めている分には興味が尽きなくて見飽きないが、こんなのがワンサカいる現地には、とても行く気がしない。
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