2003年(平成15年)4月1日号

No.211

銀座一丁目新聞

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花ある風景(125)

並木 徹

 「ひたすらに打ち込むところに美しさが生まれる」。文化放送とふるさときゃらばん主催、ミュージカル体験塾の卒業公演(3月23日・東京・文京シピック大ホール)「ほたるトラスト騒動記」を見てつくづくそう思った。ホールをほぼ満員に埋めた観客もおなじ思いであったろう。後半の「ほたる祭り」の舞台からみんなの息があって盛り上がり、すがすがしい気持になる。女性陣のダンスもうまかったし、子ども達を含めてみんなで歌う「ほたるの歌」も心にしみた。そういえば、長い間ほたるを見ていない。3,4年前、山口市で見たのが最後であろうか。下座バンドの歌も心地よかった。
4期生79人。1期からいついている人もいる。まんが家のビッグ錠さんである。食品会社の南さんとして登場、4人の美人親衛隊に助けられ、借金取りを撃退するなど古株の貫禄を見せていた。この親衛隊には昨年も出ていた人がいる。「森光子並の娘役」が夢という。借金取り(学生)もよく雰囲気を出しており、いいキャラクターをしているように思えた。
塾生の職業は多彩である。会社員18人、主婦10人、小学生7人、、アルバイト5人、学生5人、中学生4人、教員3人、高校生3人(昨年は1人だった)その他となっている。一年間、週1回3時間のレッスンに励むのである。「基礎」「作品稽古」「作品仕上げ」とかなりハードである。この間「体験ツアー」もあってふるさときゃらばんの地方公演に出かけて、劇団員から舞台づくりを実地で学ぶ。その熱心さとエネルギーにはほとほと感心する。
物語のすじはほたるどころかメダカもいない「ほたる池」にほたるを呼び戻すために地域住民がみんなで力を合わせて取り組むというもの。家族崩壊、リストラ、父兄と先生との対立、職場のトラブルなど日常私たちの周りで起きている出来事が舞台で繰り広げられる。最後にほたるが飛び交い、めでたしめでたしとなる。
きゃらばんのお芝居は見終わったあと、観客の心を明るくさせてくれるのがいい。いつもそうだが、幕が上がる前,天城さんは巣立つ雛鳥を見るようにそわそわして落ち着かない。4期生の後半の盛り上がりに満足したようで、帰りしなに見るとその表情は明るかった。

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