2002年(平成14年)12月10日号

No.200

銀座一丁目新聞

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茶説

日本人の絵が中国の教科書に

牧念人 悠々

 日本人画家、新月紫紺大さん(本名矢作大輔・48歳)の絵が中国の英語の参考書の表紙になった。快挙である。中国の家庭で使う英語の学習参考書4種類の表紙を飾る。既に中国で10元から15元(150円から225円)で販売されている。
 絵は紺と紫を混ぜた独特の色調で想像の世界を描いた4点である。教科書問題をめぐって日中間がギクシャクしている中、まことに朗報である。
 新月さんは12月から来年3月にかけて中国3箇所で開く展覧会の準備のため9月に上海を訪れ、たまたま、文匯出版社(本社・上海)の社長、黄勝銘さんと知り合った。黄社長は国交30周年に合わせて学習参考書の表紙に日本人の作品を使おうと考えていた。たまたま上海にきた新月さんの作品を見て一目で気に入り採用を決めたという。縁は異なものである。
 もともと新月さんは音楽プロデュースや舞台演出の仕事をしており、絵をはじめたのは4年前からである。
 11月末に「新月さんを励ます会」が開かれ、友人知人200名が集まり、その前途を祝福した。元電通の入江雄三さんは「これほどの大ニュースを毎日新聞の扱いは小さすぎる(11月28日地域ニュース版)。これからの日中交流を考えればトップ扱いでもおかしくない」と挨拶した。同感である。無名と言いながら、教科書での日本人画家の絵の採用は画期的である。有名無名は関係がない。ニュースバリュウーの判断の問題である。ニュースセンスを疑う。
 かって知人の田辺恵三さんが中国に小学校を建てたときも新聞は大きく扱わなかった。無名の人々の地味な日中交流がやがて大きなうねりになる事を知るべきであろう。時代の尖端をいくべき新聞が実は一番後ろからニュースを追いかけているようにしか見えない。

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