1999年(平成11年)2月10日

No.65

銀座一丁目新聞

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茶説

サマランチさんよ、おやめなさい

牧念人 悠々

 IOC招致疑惑をめぐる委員、関係者などの話、動きをみてみると、人間の欲望がうずまき、人柄がにじみ出ていて興味がつきない。

 ファン・アントニオ・サマランチ国際オリンピック委員会(IOC)会長。78歳。会長職にあること18年。(任期あと2年)114人のIOC委員のうち92人を任命する。

 欧米の主要日刊紙はサマランチ会長の辞任を求める社説を一斉に掲載した。「五輪を立て直すには新しい会長が必要」というのが一致した主張だ。(127日付朝日)

 ニューヨーク・タイムズは「サマランチ氏の監督下で開催地選考が汚染されているのに、その清浄化を同じ人物に期待するのは無理な話だ」と指摘。英タイムズは「委員の腐敗にこれまで気づかなかったのなら会長として無能。見て見ぬふりしていたなら不誠実。いずれにしても辞めるしかない」と書いた。(同紙)

 日本を代表してIOC理事をつとめる猪谷千春さんの考えは次のようだ。

 「私は続投を支持する。辞めるのは簡単なこと。針のむしろに座る気持で、今後のIOCの浄化に携わるべきだ。複雑なIOCの組織で、新人がリーダーシップを取って改革するのは難しい」(127日付毎日)

 猪谷さんに質問したい。あなたは開催地決定をめぐり、わいろの誘いを受けなかったのか、受けたとすれば、その時あなたはどうしたのか(IOC委員のベラ・チャスラフスカさん(チェコ)は数年前の五輪開催地決定の過程でわいろの誘いを受け、ことわったことを明かにしている。22日付朝日によれば、受け取ったことはないと答えている)。

 もう一つ。あなたは、開催地をめぐり、不詳事が横行していたのを知っていたのか、それとも、知ってても知らぬふりをしていたのか。

 当のサマランチ会長は腐敗を一掃できるのは自分しかいないと主張している。「今この時代で私はこれまでにもましてIOCのトップにいなければならない」(2月3日号「ニューズウイーク」日本版)

 あなたは長野の招致委員会から約200万円相当の日本刀を貰ったのではないか、貰ったとすれば、お土産としては度がすぎる。IOC規約では150ドル(17千円)を超える贈り物の受け取りは禁じられている。規約では委員会での投票権のない会長は対象外だが、むしろ会長職だけにさらにきびしく律せられるべきである。

 長野招致委員会の事務次長はIOC委員に「不快感」を与えたくないという理由で会計帳簿を焼却処分にした。こんなバカなことがまかり通る道理がない。

 アマチュアリズムの精神を重んじる元IOC副会長の清川正二さん(IOC名誉委員、85歳)は毎日新聞のインタビューに次のように答えている。(129日付毎日)

 ―私がIOC委員に就任した69年当時は、運営費として200スイスフランの年会費を支払い、会合の出席もすべて自費だった。エコノミーの航空券で移動し、安宿に泊まっても不自由を感じなかったものだ。それが、今はファーストクラスの航空券を受け取って活動し、立候補都市で接待を受けるのも当たり前になった。古い委員にとっては、見てはいられないほど金銭感覚がまひしている。

 IOCはモラルの低下によって内部から崩れようとしている。毅然とした態度で改革に乗り出さないと、近代五輪は100年を超えたばかりで自滅の道をたどるだろう―

 31718日のIOCの臨時総会でサマランチ会長が信任投票で解任されることを期待する。

 

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